障害年金の実地調査が行われた場合の対応方法

障害年金は原則として提出した書類のみで審査されます。
しかし、すべての審査を書類のみで行うのは限界があり、
例外的に実地調査が行われることがあります。
障害年金の認定基準には、実地調査について次のように記されています。
「提出した診断書等のみでは認定が困難な場合又は傷病名と現症あるいは
日常生活状況等との間に医学的知識を超えた不一致の点があり整合性を
欠く場合には、再診断を求め又は療養の経過、日常生活状況等の調査、
検診、その他所要の調査等を実施するなどして、具体的かつ客観的な情報を
収集した上で、認定を行う」
上記の認定基準を根拠に、
年金事務所が指定する医師へ再診断を命じたり、
初診時と直近の間に受診している医療機関の診断書の提出を求めたりします。
また、年金事務所の職員が自宅に来て実地調査を行うこともあります。
うつ病などの精神障害における実地調査は、
本人や家族からの聞き取り調査が原則となります。
実地調査では、診断書の「日常生活能力の判定」に沿って、
より具体的な質問をしてきます。
例えば次のような質問です。
●入浴は毎日一人で行えるか？
●自室の片付けは行えるか？
●トイレを汚さずに使うことができるか？
●一人で買い物ができるか？
●親しくしている友人はいるか？
●銀行のATMでお金の出し入れができるか？
また、簡単な計算問題などのテストが行われることもあるようです。
実地調査に対応するときは、
本人だけでなく同居している家族が同席すると話が早いです。
障害年金専門の社会保険労務士が同席できればベストですね。
実地調査の結果によっては障害年金が不支給になるのではないかと
本人や家族も身構えてしまうかもしれません。
しかし、本人の状況を正確に把握するための調査ですから、
過度に緊張せず自然に年金事務所職員の質問に答えていきましょう。
余計なことは話さないようにと非協力的な態度をとってしまうのは、
心証が良くないのでやめておきましょう。
実地調査において気をつけてほしいことは、次の２つです。
【ポイント①：うつ病は日によって状況が異なることを理解すること】
うつ病の場合、日によって症状にかなりの差があります。
調査日にたまたま調子が良かった場合、調子の良い状態での日常生活能力を
伝えてしまうと、そのまま調査結果に反映されてしまうおそれがあります。
そうなってしまうと、本来の日常生活能力と比べて障害は軽度であると
判断されてしまい障害等級が低くなる、あるいは不支給となる可能性が
あります。
比較的調子の悪いときの日常生活状況について、
事前にまとめておくと良いでしょう。
とくに、着替え・トイレ・食事・炊事・掃除・洗面・入浴・散歩・洗濯・買物
については、次の4段階で評価できるよう具体的にまとめておきましょう。
＜4段階評価＞
１：自発的にできた
２：自発的にできたが援助が必要だった
３：自発的にできないが援助があればできた
４：できなかった
年金事務所の職員も障害そのものの専門家ではないので、
これらの情報はきちんと伝えるようにしましょう。
本人が伝えられない場合でも、家族の意見も参考にされますので、
伝え漏れのないように注意が必要です。
【ポイント②：調査報告書の内容に誤りがないかを確認する】
実地調査での聞き取り後、職員は調査報告書を作成しますので、
内容を見せてもらい、誤りがないかをしっかり確認しましょう。
報告書が誤っていると、審査結果に悪影響が出てきます。
とくに、調査日に本人の調子が良く、普段よりも日常生活能力が戻っている
場合は注意が必要です。
調子の良い時の状況だけが報告書に書かれているときは、
調子の悪いときの状況も追記してもらうように意見してください。
以上が障害年金における実地調査があった場合の対応方法です。
障害年金は原則書類審査のみですので実地調査はめったにありませんが、
もしもの場合にはこの記事が役に立つと思います。