障害年金の審査請求、再審査請求の結果が予測しにくくなっています

年金に関する審査請求のうち、約90％が障害年金の審査請求だということを
知っていますか？
いかに国民が行政を信用していないかが何となく見えてくる気がします。
それは半分冗談ですが、年金に関する審査請求のほとんどが障害年金
というのには、理由があります。
それは、障害年金が年金制度の中で最も難解であることと、
役所の決定に明確な理由が記されていないことが原因です。
障害年金の不支給決定の通知が届いても、
法の要件を満たしていないとだけ書かれていても納得できません。
障害年金という権利を守るためには審査請求を行うしかないというのも
仕方のないことかもしれません。
こうして審査請求、場合によっては再審査請求で障害年金の権利を主張
するのですが、その結果こちらの主張が容認されるかは
予測が難しいのが実情です。
明らかな行政側のミスであれば話は簡単ですが、
審査請求を行うレベルとなると単純な法律の話ではすまなくなります。
人によって解釈が分かれるような条文や通達であったり、
医学的な専門知識であったりとその内容は様々です。
実は、以前はもう少し審査請求や再審査請求の結果は予測しやすかったのです。
なぜなら、社会保険審査会の裁決集が出版されていたからです。
この裁決集を読み込むことで、
審査会の解釈・判断基準等を知ることができるのです。
現在争点となっているものと過去の事例を付け合わせることで
審査請求の結果を予測できたのです。
しかしこの裁決集、平成15年版を最後に出版されなくなりました。
きっかけは厚生労働省職員の汚職でしたが、
その影響を受けて裁決集の出版がストップしたのです。
今現在は社会保険審査会のホームページに裁決例が載っていますが、
年間数件程度しかなく、数量が絶対的に足りていません。
これでは、審査請求・再審査請求での役所側の考え方を
事前に把握することができません。
過去の事例を活かした審査請求の手続きを行うことも難しくなっているため、
結果の予測が困難になっているのです。
個人情報保護という観点もあるかもしれませんが、
個人名を伏せるといった配慮でどうにでもなる話です。
裁決集をもう一度出版してくれとまでは言わないので、
せめてインターネット上ではすべての裁決結果がみれるように
してほしいものです。
事前に結果が予測できれば、無駄な審査請求も減り、
国民にとっても行政にとっても良いことだと感じるのは私だけでしょうか？