退職後に国民年金の届出をしないでいたら障害年金がもらえないって本当？

障害年金を受給するためには、
初診日の時点で国民年金か厚生年金もしくは共済年金に
加入していなければなりません。
では、次のような場合は、障害年金を受給することができるでしょうか？
【事例】
●平成24年3月に会社を退職して厚生年金を喪失
●平成24年4月に初診日
●平成24年4月以降働けない状態が続いていたが、国民年金の加入手続きを
行っておらず、保険料も未納状態が継続している。
●平成25年10月の障害認定日時点でも症状は改善しておらず、
障害等級2級に該当する障害状態である。
●初診日の前日時点で被保険者期間の2/3以上保険料を納めており、
保険料納付要件は満たしている。
会社を退職後、国民年金の保険料を払いたくないからと手続きを行わず、
その間に障害の初診日がきてしまうというのは、以外とあります。
そして、このような場合には「障害年金は支給されない」と
説明する市区町村や年金事務所があります。
なぜなのかというと、
「厚生年金は喪失している。そして国民年金も加入手続きをしておらず
無年金状態の間に初診日がある。
そのため、初診日に公的年金制度に加入していなければならないという、
障害年金の要件を満たしていない」
というのが理由だそうです。
一見正しいように見えます。
しかし、これは大きな誤りです。
実際には初診日要件は満たしているため、障害年金を受給できます。
どこが誤っているのかというと、
退職後に国民年金の届出をしていないから国民年金には未加入である
という点です。
実は、日本に住んでいる20歳から60歳の人は
すべて国民年金の被保険者です。
国民年金の被保険者には次の3種類があります。
●第1号被保険者：第2号被保険者・第3号被保険者以外の人
●第2号被保険者：会社員などで、厚生年金に加入している人
●第3号被保険者：第2号被保険者の被扶養配偶者
法律上は、会社を退職して厚生年金を喪失した時点で
第2号被保険者から第1号被保険者となっています。
市区町村への国民年金の届出をしていない結果、
保険料の未納状態となっていることは確かです。
しかし、保険料が未納なだけで、国民年金の被保険者であることには
変わりありません。
国民年金の手続きをしていない間に初診日があると障害年金は受けられない
という誤解はかなり広まっています。
市区町村や年金事務所の職員にそのようなことを言われても
信じないで下さい。
障害年金の権利はあります！
【重要な補足】
今回の事例、初診日要件は満たしていますが保険料納付要件は要チェックです。
なぜなら、直近で保険料の未納があるため、
「初診日前1年間に保険料の未納がないこと」
という保険料納付要件を満たしていないからです。
この場合は、20歳以降初診日の前月までの被保険者期間のうち、
1/3以上の期間保険料の未納がなければ大丈夫です。
ただし、この保険料納付要件は
「初診日の前日」の時点で判断されます。
初診日以降に過去の保険料を支払っても
障害年金には意味がないので注意して下さい。