退職後にうつ病と診断されたあなたへ

体調不良で退職後に病院へ行ってうつ病と診断された人は、
今回の記事が助けになるかもしれません。
うつ病で障害年金の手続きをするとき、
いつも問題になるのが初診日です。
初診日とは、障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日
をいいます。
多くの人は、精神科や心療内科でうつ病と診断された医療機関に
はじめて受診した日が初診日になると誤解しています。
もちろん、心療内科や精神科ではじめて医師の診察を受けた日が
初診日になることも多々ありますが、そうならないことも多いのです。
なぜなら、内科などの別の病院ではじめて医師の診療を受けた日が
初診日となることがあるからです。
というのも、
うつ病にかかった人は、最初から自分がうつ病だと自覚することは
難しいといえます。
そのため、いきなり精神科や心療内科に行くのではなく、
身体の不調を訴えて内科などの科にかかることになるのです。
そこで、うつ病などの精神疾患と因果関係の強い病名と診断されると、
その病院ではじめて医師の診療を受けた日が初診日となる可能性が
高まってくるのです。
このうつ病などの精神疾患と因果関係の強い病気の代表が心身症です。
心身症とは、心理的な要因によって特定の器官に限定されて
身体症状が現れる疾患の総称です。
心身症の例として、次のような病名があげられます。
【心身症の例】
過敏性腸症候群、過敏性膀胱、胃潰瘍、狭心症、神経性胃炎、
神経性嘔吐症、緊張性頭痛、偏頭痛、気管支ぜんそく、心因性呼吸困難、
摂食障害、高血圧、神経性頻尿、じんま疹　など
うつ病と診断される前に心身症などで別の病院に通っていたことで
初診日が変わると、次のような影響がでてきます。
●もらえる障害年金の種類が変わる
⇒厚生年金に加入していた人が退職後に精神科にかかり、
その日が初診日になったとすると、障害基礎年金のみが対象となります。
⇒しかし、退職前に過敏性腸症候群などの心身症で内科に通っていた場合、
内科ではじめて受診した日が初診日と認められると、
障害基礎年金と障害厚生年金の二つの年金が支給されることになります。
●障害年金の手続きを早く開始できる
⇒障害年金は、障害認定日（初診日から1年6ヶ月経過日）以降でないと
手続きできません。
そのため、うつ病と診断される前に内科などに通っていたことで
初診日が前倒しになれば、その分障害認定日も早く到達するため、
障害年金の手続きも早く開始することができるのです。
●初診日が変わることで保険料納付要件を満たすことができる場合がある
⇒例えば退職後は年金を未納していて全被保険者期間の1/3以上が未納期間
となっていると、退職後に初診日があると保険料納付要件を満たしておらず、
障害年金が支給されないということが起こりえます。
⇒しかし退職前に心身症で内科に通っていたことで初診日が在職時になった
とすると、初診日の直近1年に保険料の未納がなければ
保険料納付要件を満たしているとされます。
今の例は、初診日が前倒しになったことでメリットがあった場合ですが、
逆に不利益になることもあるのです。
だからといって、自分で初診日を選択することはできないということは
しっかりと理解しておいてください。
私たち全国障害年金パートナーズへ依頼にきた人の中にも
退職後にうつ病と診断されたため、障害基礎年金しかもらえない
と思っていた人がいました。
しかし、詳しく話を聞いていると退職前も体調が悪く、
胃潰瘍で病院に通っていたことが分かりました。
そして、胃潰瘍で通った病院時に初診日が認定された結果、
障害基礎年金2級と障害厚生年金2級を受給することができ、
大変喜んでいました。
もしこの記事を読んで障害年金受給の希望が見えた人が
少しでもいたら嬉しいです。