認知行動療法の流れ

認知行動療法の具体的な内容は人によって異なりますが、
大まかな流れは決まっています。
1回につき30分から50分程度の対話を中心に行われ、
週に一回ほどのペースで12回くらいで終わります。
この記事では、認知行動療法の簡単な流れについて
説明していきます。
 

1．一回の治療における大まかな流れ

認知行動療法は一回30分から50分で行われるのが通常で、
一回の治療を１セッションといいます。
１セッションは、次のような流れで進められます。
①導入部
最初の10分間で、一つ前のセッションの復習をしたり、
その日のテーマを決めます。
前回のセッションで宿題が出ていた場合には、
その宿題の回答も行います。
②本題
うつ病者さんが話したいテーマや
カウンセラーが必要と考えるテーマを本題として話し合います。
この中で、認知・感情・行動を分けて考え、
これらに悪循環や歪みといったものがあれば
具体的な対策について話し合います。
③まとめ
その日のセッションを振り返ったり、
感想を伝え合ったりします。
次回へ向けた宿題があればその確認も行います。
 

2．治療の具体的な流れ

2-1．何がつらいか話してみる
認知行動療法の治療は、
うつ病者がカウンセラーに自分のつらさや
自分がどうしたいといったことを話すことから始まります。
うつ病者は自分のつらいと感じていることや悩みを話す、
カウンセラーはひたすらその話を聞くという行為を通じて
うつ病者は自分の話を聞いていくれる人がいると安心できるのです。
ここまできてはじめて治療の準備ができたといえます。
2-2．話したいテーマを決める
話をしやすい雰囲気が出てきたら、
その日のテーマを決めましょう。
例えば、次のようなことがテーマになります。
●今つらいと感じていることは何か？
●人前に出ると緊張して話ができない
●不安で眠れない
●家族との関係がうまくいっていない
●職場の人間関係に不安がある
2-3．認知・感情・行動を分けて考える
決めたテーマに沿ってうつ病者は
自分の気持ちや考えをできるだけ詳しくカウンセラーに話します。
カウンセラーはそれをしっかり理解し、
認知（考え方）・感情・行動に分けるのを手伝います。
例えば、「外出することができない」という行動について話があったとします。
カウンセラーは「なぜ外出できないんですか？」と尋ねます。
うつ病者は「人に会いたくないから」と答えたとします。
次にカウンセラーは「人と会うとどんな気持ちになりますか？」と質問します。
うつ病者は「人から見られることに恐怖を感じる」と答えたとします。
これを整理すると、次のようになります。
行動：外出できない
認知：人に会いたくない
感情：人と目をあわせるのが怖い
行動は比較的分かりやすいのですが、
認知と感情は一体になっていることが多いので
区別することが難しいとされています。
しかし、認知と感情を分けて考えることで問題解決につながりますので、
カウンセラーに手伝ってもらいながら進めていきましょう。
2-4．認知の歪みを発見する
認知・感情・行動を分けて考えることができれば、
認知がゆがんでいて感情や行動に悪影響を与えていることが多いと分かります。
例えば、先ほど「人に会いたくない」という認知の話をしました。
この認知から「外出できない」という行動や、
「人と目をあわせるのが怖い」という感情が生まれていました。
しかしよく考えてみてください。
外出したからといって人と会うとは限らないのです。
人の目が怖いと感じていても、相手は何とも思っていないことがほとんどです。
結局、「人に会いたくない」という認知は歪んでいるといえるのです。
ここが理解できれば次の具体策を打つことができます。
2-5．認知の歪みを修整する
認知の歪みを修整する方法は多々ありますが、
ここでは２コラム法を紹介します。
【2コラム法とは】
認知・感情・行動を分けて表示し、
自分の認知（考え）と別の認知がないかを探ることで
認知の歪みを修整していく方法
【2コラム法の事例】
ステップ①：出来事を書き出す
例：上司に怒られた
ステップ②：その時の感情を書き出す
例：憂うつ
ステップ③：その時の考え（認知）を書き出す
例：私は上司に嫌われている
ステップ④：別の考え（認知）がないかを探る
例：上司は私の将来を良くしたくて怒ってくれた
このように、自分の認知と違う認知を探っていくことで
認知の歪みを修整していくことができます。
この認知の歪みを修整するという行為を繰り返し継続していくことで、
うつ病は改善されていきます。
 

3．まとめ

今回の記事では、認知行動療法の簡単な流れと
その手法について話をしていきました。
もしあなたがこれから認知行動療法を受けたいというのであれば、
この記事を読んでから治療を受けると
治療内容の理解が深まり、うつ病の早期改善となるかもしれません。
認知行動療法は簡単なものではありませんが、
少しずつ理解していくことが重要です。