障害年金手続きにおける医師との折衝（３）：障害年金に詳しくない医師との折衝

うつ病をはじめとした障害年金の審査において、診断書が重要というのは何度もお伝えしているところです。
当然、診断書を作成するのは医師ということで、医師との折衝も障害年金を受給するためには大切なポイントとなってきます。
そこで、4回シリーズでうつ病による障害年金を前提に、医師との折衝について話をしていきたいと思います。
第３回目のテーマは、「障害年金に詳しくない医師との折衝」です。
障害年金に対する医師の考え方は多様です。
うつ病者本人およびそのご家族への経済的安定を障害年金でサポートできることから、うつ病の治療効果を高めるのに有効と判断して積極的に協力してくれる医師も多くいます。
一方、障害年金が支給されることで甘えが生じ、うつ病を治す意欲が弱まると考え、障害年金には消極的な考えをもつ医師も少なからずいます。
いずれの場合でも、障害年金の制度について詳しい知識を持っている医師は少ないのが現状です。
医師は、医学的な視点でうつ病をはじめとした傷病を見ています。
しかし、障害年金においては、医学的な観点というよりも、うつ病が日常生活・社会生活を送る上での障害が重視されます。
【参照：精神の障害の障害認定基準より抜粋】
「精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する」
私たち全国障害年金パートナーズが医師と折衝を行う場合には、次のことを説明して理解を求めています。
１．日常生活状況の判断は、「単身で生活するとしたら可能かどうか」が基準となることを説明する
この点を誤解している医師が非常に多いです。
医師は、家族などの援助を受けながら生活している状態のうつ病者しか見ていないのですから、無理はありません。
しかし、「単身で生活するとしたら可能かどうか」を基準に日常生活状況を判断するということを医師に理解してもらえるかどうかで、適切な診断書ができるかどうかが変わってきますので、かなり念入りに説明しています。
２．障害年金の年金額を説明する
2級と3級では年額80万円近く異なってくること、過去5年間遡って請求できる場合には300万〜500万円も振り込まれることなど、具体的な年金額について説明するようにしています。
これによって、医師も障害年金についての実感をもってもらい、診断書の重みを理解してもらうのです。
障害年金に対する考えは医師によって異なりますが、病気を治療したい・人を助けたいという気持ちは同じです。
うつ病の治療は医学で、経済的安定は障害年金でサポートするという意識を医師と共有できるようにしていきましょう。