人生に「非常口」はありますか?

From:宮里竹識
世田谷のスタバより、、

「障害年金を受け取ったら、本当に働けない人になってしまう気がするんです」

電話の向こうから、
かすれた声が聞こえてきました。

40代のKさんです。

以下は、複数の相談で共通していた経過・発言・結果を、個人が分からない形で再構成したものです。

Kさんは、長年働いてきました。

職場で誰かが困っていると、真っ先に動く人でした。

急な仕事が入れば、自分が残る。

「自分がやらなければ」

それが、Kさんの口ぐせでした。

ところが、ある朝。

目覚まし時計が鳴っても、
体を起こせなくなりました。

ピピピピッという音が、
頭の中を刺すように響きます。

布団をめくろうとしても、
腕に力が入りません。

胸の上に、
大きな石を置かれているようでした。

会社へ連絡しなければいけません。

そう思うのに、
スマホを持つ手が震えます。

ようやく送れたのは、

「体調不良のため、本日は休みます」

という短い文章だけでした。

その日を境に、
Kさんは会社へ行けなくなりました。

病院では、うつ病と診断されました。

医師からは、
仕事を離れて休むように言われました。

でも、Kさんは休めません。

体は布団の中にあっても、
頭の中では、ずっと働いていたからです。

「同僚に迷惑をかけている」

「このまま戻れなくなったらどうしよう」

「家族を養えない自分に価値はない」

そんな言葉が、
壊れたラジオのように何度も流れていました。

奥様から障害年金の話をされたときには、
思わず強い口調で言いました。

「そんなものに頼ったら、もう戻れなくなる」

Kさんにとって、
障害年金は「逃げ道」でした。

そして、逃げ道をつくることは、
弱い人がすることだと思っていたんです。

だから、自分でその道をふさぎました。

休職してしばらくたった月曜日。

Kさんは会社へ戻ろうとしました。

クローゼットから、
久しぶりにスーツを出します。

冷たいワイシャツに腕を通し、
鏡の前でネクタイを結びました。

指先が震え、
何度やっても結び目が曲がります。

それでも、玄関を出ました。

駅のホームに、
電車が入ってきます。

ゴーッという音。

ドアが開く音。

目の前では、
たくさんの人が電車へ吸い込まれていきます。

ところが、
Kさんの足だけが床に貼りついたように動きません。

あと一歩です。

その一歩が出ません。

プシューッと音を立て、
ドアが閉まりました。

電車が見えなくなったあとも、
Kさんはホームに立ち続けていました。

結局、その日は会社へ行けませんでした。

家へ帰る途中、
雨が降ってきました。

靴下まで濡れているのに、
傘を差す気力もありません。

帰宅すると、
玄関に座り込みました。

「俺は、何をやっているんだろう」

その夜も、
銀行のアプリを開きました。

白く光る画面に表示された預金残高は、
先月より減っています。

あと何か月もつのか。

住宅ローンをどうするのか。

子どもの費用をどうするのか。

計算をすればするほど、
胸のまわりを強いベルトで締められるように、
息が苦しくなりました。

そんなとき、奥様が見つけたのが、
私たちのホームページでした。

Kさんは、
数日間、電話をかけられませんでした。

何度も迷った末に、
ようやく相談してくれたのです。

私はKさんに聞きました。

「なぜ、障害年金を受け取ってはいけないと思うのですか?」

Kさんは答えました。

「逃げ道があると、甘えてしまいそうで怖いんです」

そこで私は、
こんな話をしました。

大きな建物には、
非常口があります。

では、非常口がある建物は、
弱い建物でしょうか?

違いますよね。

非常口は、
毎日そこから逃げるためにあるのではありません。

火事が起きたとき、
中にいる人を守るためにあります。

逃げ道があるからこそ、
人は安心して中にいられるのです。

障害年金も同じです。

申請を検討することは、
人生を投げ出すことではありません。

将来働く可能性を、
自分で消すことでもありません。

今の生活を守り、
治療と休養に必要な時間をつくるための、
非常口になり得るのです。

電話の向こうが、
静かになりました。

しばらくして、
ティッシュを引き抜く音がしました。

そしてKさんは、
小さな声で言いました。

「逃げ道を用意することと、
逃げると決めることは違うんですね」

その後、私たちは、
すぐに申請を決めたわけではありません。

初診日や保険料の納付状況を確認しました。

食事を自分で用意できるのか。

一人で買い物へ行けるのか。

薬を忘れずに飲めるのか。

お風呂に入れるのか。

一つずつ、
生活の状態を聞いていきました。

Kさんは最初、

「何とかできています」

と答えていました。

でも、詳しく聞くと違いました。

食事は、奥様が用意していました。

買い物には、
一人で行けません。

薬も、声をかけてもらわなければ、
忘れてしまいます。

「家族に助けてもらえばできる」ことと、
「一人で問題なくできる」ことは、
同じではありません。

うつ病での障害年金が難しい理由の一つは、
こうした生活の苦しさが、
外から見えにくいことです。

そして本人も、
できなくなったことを、
小さく話してしまいます。

Kさんは必要な確認を終え、
障害年金の手続きに進みました。

後日、受給が決まったことを伝えると、
しばらく黙ったあと、こう言いました。

「初めて、休んでもいいと思えました」

障害年金で、
うつ病がすぐに治るわけではありません。

それでも、預金残高が減り続ける恐怖が和らげば、
ようやく休むことに力を使えます。

あなたも、自分を正論で追い詰めていませんか?

「大人なのだから働くべきだ」

「家族がいるのだから頑張るべきだ」

「まだ動けるのだから、休んではいけない」

どれも、一見すると正しい言葉です。

でも、その正しさで、
自分の逃げ道をすべてふさいでしまえば、
心は動けなくなります。

強い人とは、
逃げ道を持たない人ではありません。

自分が壊れてしまう前に、
非常口の場所を確認できる人です。

障害年金は、
負けた人に与えられるお金ではありません。

病気やけがによって、
生活や仕事に大きな支障が出たときに、
暮らしを支える公的年金です。

ただし、
申請すれば誰でも受け取れるわけではありません。

初診日、保険料の納付状況、
現在の障害状態などの要件があります。

病名だけで決まるものでもありません。

だからこそ、
一人で「自分は無理だ」と決めないでください。

今すぐ申請すると決めなくても大丈夫です。

まずは、
自分が対象になる可能性があるのかを確かめるだけでも、
立派な一歩です。

あなたが安心して休むための非常口を、
一緒に探しましょう。

うつ病で苦しむ人が、安心して休める社会をつくる。宮里竹識

社会保険労務士法人全国障害年金パートナーズ代表
うつ病の障害年金を2400名以上成功させた社労士
宮里竹識(みやざと たけし)は、うつ病の障害年金に特化した特定社会保険労務士です。障害年金を通じて、うつ病で働けない人に経済的な安心を届ける支援を行っています。初診日や病歴・就労状況等申立書の設計、医師診断書の記載支援など、障害年金の実務全体を一貫してサポートしています。

「自分は対象になるのか分からない」
「申請が難しそうで不安」
そんな方のために、今の状況から受給の可能性を無料で確認できます。
無理なご案内はありませんので、安心してご利用ください。

お電話でのご相談も承っております

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