うつ病による障害年金専門社会保険労務士事務所

どこからがうつ病なのか?診断基準をめぐるアメリカでの論争と障害年金について

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DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
という言葉を知っていますか?
これは、アメリカ精神医学会が作っている心の病気に関する診断基準です。
日本では「精神障害の診断と統計マニュアル」「精神疾患診断統計マニュアル」
などと呼ばれています。
このDSMは、WHO(世界保健機構)のICDとともに国際的に広く用いられています。
DSMは当初統計調査のために作られましたが、
DSM第3版より明確な診断基準が設けられ、
医師によって診断結果が異なるという問題に対応されるようになりました。
明確な診断基準がない頃は、
アメリカやヨーロッパ、日本においても診断結果に不一致が見られていました。
そのため、診断基準が明確化したDSM第3版が1980年に発表されたことで、
どの医師が診断してもある程度同じ診断結果になるようになりました。
しかし、このDSM第3版も完璧ではありませんでした。
「どの基準が最も妥当性があるか」
「他の診断基準体系との間で診断の不一致」
といった問題が残り続けました。
そのためDSMは随時更新されており、
現在は第5版のDSM-5が最新版となっています。
実は、このDSM-5が発行されるとき、
アメリカで激しい論争が起こっていました。
論争に火を付けたのは、第4版であるDSM-4の作成委員長で
精神科医のアレン・フランセス医師でした。
アレン医師は自身の著書の中で、学会のパーティ会場で議論した
エピソードを紹介しており、最新版DSMの手引を使えば、
自分も病気にされてしまうと主張したのです。
また、アレン医師は次のようにも言っています。
”私がおいしいエビや肉をたらふく食べるのは「むちゃ食い障害」、
人の名前や顔を忘れるのは「軽度神経認知障害」、
孫のかんしゃくは「重篤な気分調節不全障害」の症状とされてしまう”
アレン医師の主張をきっかけに、論争はアメリカ国内だけでなく
世界的に広がっていきました。
英国心理学会も「主観的な判断に頼っている」「医学の基準を満たしていない」
などと批判する文書を公表しました。
DSMー5の草案見直しを求める請願には、1万5000以上の署名が集まったそうです。
多くの論争の末、DSM-5は2013年5月に完成しました。
結局、激しい批判を受けた結果、一部は修正されたものの大枠は
DSM-4とさほど変わらない内容となりました。
やはり客観的に診断する仕組みがないというのが
現在の医学の限界です。
実際、うつ病の患者などは医師によって病名が変わってしまうことが
良くあります。
適応障害・不安神経症・抑うつ状態・うつ病・双極性障害Ⅱ型・統合失調症
などです。
私たち全国障害年金パートナーズでは、
日々うつ病の人を中心に障害年金のサポートを行っていますが、
病名がネックになって障害年金を受けられないと言われてしまう人から
時折相談があるのです。
確かに、今の障害年金の審査基準では
適応障害・不安神経症・抑うつ状態といった神経症では
障害年金の受給が難しいのが現状です。
※例外はあります。
ただ、今回紹介したDSMや障害年金の病名判断で使われているICDという基準も
やはり完璧な診断基準ではなく、医師によって病名が変わってしまうことが
あります。
そのため、「うつ病じゃないから障害年金は受けられない」
と医師に言われた場合、別に医師にセカンドオピニオンとして診断を受ければ
うつ病や双極性障害、統合失調症といった病名に変わるかもしれません。
病名変更によって障害年金を受けられるようになるかもしれないので、
簡単に障害年金をあきらめないようにしてください。
ただし、あくまでも「病気を治す」というのが最優先だと思いますので、
自分にとって都合の良い診断をしてくれる医師を探すという
変な方向に走らないように注意してくださいね。



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