シャネルが脱がせたのは、コルセットだけではなかった

From:宮里竹識
世田谷のスタバより、、
今からおよそ100年前。
パリのある屋敷で、
一人の女性が鏡の前に立っていました。
白い下着の上には、
硬い布と細い骨で作られたコルセット。
その背中には、
何本ものひもが通っています。
「もう少し締めますよ」
後ろに立つ女性が、
両手でひもを引きました。
シュル、シュルッ。

乾いた音が部屋に響きます。
細く見せるため、
腰はぎゅっと押し込まれます。
胸は上へ持ち上げられ、
お腹は板のように固められます。
息を吸おうとしても、
肺の半分しか空気が入らないような感覚です。
それでも彼女は、
鏡に向かって笑わなければなりません。
当時は、
それが「きちんとした女性」の姿だったからです。
外へ出るためには、
苦しい服を着る。
美しく見られるためには、
自由に動くことをあきらめる。
背中のひもを自分だけで強く締めるのは難しく、
誰かの手を借りることも珍しくありませんでした。
服を着ているのに、
まるで服に捕まっているようですよね。
私なら3分で、
「もう無理です。脱がせてください」
と白旗を上げる自信があります。
でも彼女たちは、
簡単に脱ぐことができませんでした。
なぜなら、
「女性とは、こうあるべきだ」
という目に見えないルールまで、
一緒に身につけていたからです。
そこへ現れたのが、
ココ・シャネルでした。
シャネルが作った服は、
それまでの女性服とはまるで違いました。
体を締めつける形をやめる。
飾りを減らす。
男性用の衣服や下着にも使われていた、
実用的な生地を使う。
喪服を連想させた黒を、
街を歩くための美しい色に変える。
当時の人からすれば、
かなり変わった服です。
「安っぽい」
「女らしくない」
「まるで喪服だ」
そんな声もあったでしょう。
でも、その服を着た女性は、
初めて大きく息を吸えました。
肩を前へ出せる。
腕を高く上げられる。
早足で歩ける。
一人で服を着て、
一人で外へ出られる。
石畳を打つ靴の音が、
昨日までとは違って聞こえたはずです。
カツ、カツ、カツ。
冷たいパリの空気が、
胸の奥まで入ってきます。
その女性は、
こんなふうに感じたかもしれません。
「私の体が、私のところへ戻ってきた」
シャネルが脱がせたのは、
コルセットだけではありません。
「苦しくても我慢するのが当たり前」
という時代の思い込みまで脱がせたのです。
さて、
これは100年前の女性だけの話ではありません。
今のあなたも、
目に見えないコルセットを着ていませんか?
40代の男なら、
弱音を吐いてはいけない。
夫なら、
家族を養わなければならない。
母親なら、
子どもの前でしっかりしなければならない。
病気でも、
仕事へ行かなければならない。
休んだら、
怠け者だと思われる。
一本一本は細いひもです。
でも、
何年もかけて全部を締めていくと、
ある日、息ができなくなります。
朝、目は覚めているのに、
体が布団から動かない。
会社からの着信音を聞くだけで、
胸がドクンと鳴る。
通帳を見ると、
指先が冷たくなる。
それでもあなたは、
「もっと頑張らなければ」
と、
自分のひもをさらに引いてしまう。
でも、それは、
息ができない人のコルセットをさらに締めるようなものです。
あなたは怠けているのではありません。
責任感が強く、
家族を大切にしてきたからこそ、
限界までひもを締めてしまったのです。
だから今あなたに必要なのは、
新しい努力を足すことではありません。
「病気でも働かなければならない」
という一本のひもをいったん外すことです。
うつ病は、
気合いで押し切る病気ではありません。
安心して休める時間が必要です。
とはいえ、
収入がなくなれば不安になりますよね。
休みたいのに、
お金の心配で頭が休まらない。
これは、
ブレーキを踏みながらアクセルも踏んでいるような状態です。
そこで知ってほしいのが、障害年金です。
障害年金は、
病気やケガによって生活や仕事に大きな支障が出たときのためにある公的な保険です。
うつ病でも、
一定の要件を満たせば対象になる可能性があります。
ただし、うつ病での障害年金はとても難しいです。
目や耳の障害のように、
一つの数字だけで判断できません。
食事や入浴、
買い物や人づきあい、
働くことにどんな支障が出ているのかを、
書類で正確に伝える必要があります。
体調が悪いあなたが、それを一人で整理するのは簡単ではありません。
だから、無理に一人でやらなくていいんです。
私たち全国障害年金パートナーズは、
うつ病による障害年金を専門にしています。
難しい手続きは私たちが引き受けます。
あなたはまず、
苦しい鎧を脱いでください。
電話で長く説明できなくても大丈夫です。
「障害年金の相談です」
最初は、
その一言だけでもかまいません。
服の主役がコルセットではなく、
それを着る女性だったように、
あなたの人生の主役も、
会社や世間ではありません。
あなたです。
今は、大きく息を吸ってください。
休むことから、もう一度始めましょう。



