障害基礎年金と障害厚生年金の違いは何?金額などをわかりやすく解説
「障害基礎年金と障害厚生年金は何がどう違うのかわからない」「自分はどちらの対象になるのか知りたい」と考えている方もいるでしょう。
障害年金は制度が複雑で、専門用語も多いため、調べれば調べるほど混乱してしまう方も少なくありません。
障害基礎年金と障害厚生年金には、根拠となる年金制度・法令や、対象となる障害等級、支給額の計算方法など、さまざまな違いがあります。
この記事では、うつ病による障害年金申請を専門にサポートしてきた社労士の立場から、障害基礎年金と障害厚生年金の違いをわかりやすく整理してお伝えします。
私たち「全国障害年金パートナーズ」は、これまで累計3,000名以上、年間約500名の方の障害年金受給をサポートしてきました。数多くの事例を扱ってきた経験から見えてきた情報もまとめて紹介します。
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障害基礎年金と障害厚生年金の違い

ここからは、両者の違いを具体的に比較していきます。「同じ病気なのに人によって金額が違う」といった疑問も、解消できるでしょう。
根拠となる制度
障害基礎年金は国民年金法、障害厚生年金は厚生年金保険法を根拠としています。制度としての土台が異なるため、等級の区分や支給額の計算方法にも違いが生まれます。
対象等級
障害基礎年金は1級・2級のみが対象です。一方、障害厚生年金は1級から3級までが対象です。
さらに、厚生年金の加入期間中に初診日があり、初診日から5年以内に病気やけがが治った場合(症状が固定した場合を含む)に、3級より軽い一定の障害が残っているなどの要件を満たすと、障害手当金(一時金)が支給されることがあります。
基礎年金に3級の区分が存在しない点は、特に誤解されやすいところです。
金額の決まり方
障害基礎年金は定額制で、保険料の納付実績にかかわらず、等級に応じた一定額が支給されます。
一方、障害厚生年金は報酬比例制で、加入期間中の給与水準(標準報酬月額)や加入期間の長さによって金額が変動します。
同じ2級であっても、収入や加入期間によって支給額に差が出てくるのはこのためです。
一般的には、加入期間が長く、その間の給与水準が高い方ほど、報酬比例部分の金額も大きくなる傾向にあります。
反対に、加入期間が短い場合は、300月(25年)加入したものとみなして計算する仕組みが設けられており、極端に低額になりすぎないよう配慮されています。
加算の違い
障害基礎年金には、「子の加算」があります。子の加算の対象となる年齢は、原則として「18歳になった後の最初の3月31日まで」です。ただし、子どもに一定の障害がある場合は、20歳未満まで対象となります。
一方、障害厚生年金の1級・2級には、生計を維持されている配偶者がいる場合の「配偶者加給年金」が加算されます。対象となる配偶者には、65歳未満であることや、一定の年収要件を満たしていることなどの条件が設けられています。
障害基礎年金には、この配偶者に対する加算は設けられていません。
家族構成によって、受け取れる加算の内容が異なる点も押さえておきたいところです。子がいるご家庭と配偶者がいるご家庭とでは、加算される項目が異なるため、同じ等級であっても最終的な受給額に差が生まれることがあります。
ここまで見てきたように、支給額の違いは主に「初診日にどちらの年金制度に加入していたか」「加入期間中の収入や期間」「家族構成による加算の有無」という要素の組み合わせによって生まれます。
同じ病名・同じ等級であっても、これらの条件が異なれば受給額が異なるのは、制度の仕組みによるものです。
障害基礎年金・障害厚生年金の金額の目安(令和8年度)

制度の違いがわかったところで、それぞれの金額の目安を見ていきます。ただし、金額は個々の状況によって異なるため、あくまで参考としてご覧ください。
障害基礎年金の金額
令和8年度の障害基礎年金の金額は、2級の場合は以下のとおりです。
| 対象となる方 | 2級の年額 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以後生まれの方 | 847,300円 |
| 昭和31年4月1日以前生まれの方 | 844,900円 |
1級は、2級の1.25倍にあたる金額です。
| 対象となる方 | 1級の年額 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以後生まれの方 | 1,059,125円 |
| 昭和31年4月1日以前生まれの方 | 1,056,125円 |
上記に加えて、子がいる場合は子の加算額が上乗せされます。金額は、以下のとおりです。
| 子の人数 | 加算額(1人あたり) |
|---|---|
| 2人まで | 243,800円 |
| 3人目以降 | 81,300円 |
加算の対象となる子がいるかどうかは、受給者がその子の生計を維持しているかによって判断されます。
参考:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
障害厚生年金の金額
障害厚生年金は、厚生年金加入期間中の給与水準(標準報酬月額・標準賞与額)と加入期間をもとにした「報酬比例の年金額」によって計算されます。
等級ごとの障害厚生年金(厚生年金部分)の計算方法は、以下のとおりです。1級では報酬比例の年金額が1.25倍になりますが、2級・3級では1.25倍になりません。
| 等級 | 障害厚生年金の計算方法 |
|---|---|
| 1級 | 報酬比例の年金額×1.25 |
| 2級 | 報酬比例の年金額 |
| 3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額あり) |
そのため、「○級だから○円」と一概には言い切れません。ただし、障害厚生年金3級の最低保障額は決まっており、以下のとおりです。
| 対象となる方 | 最低保障額 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以後生まれの方 | 635,500円 |
| 昭和31年4月1日以前生まれの方 | 633,700円 |
1級・2級に該当する場合は、この報酬比例の年金額に加えて、障害基礎年金もあわせて受給できます。また、1級・2級に該当し、生計を維持されている配偶者がいる場合は、配偶者加給年金(243,800円)が加算されます。
障害年金の金額は加入期間や収入、等級によって一人ひとり異なります。そのため、正確な見込み額を知りたい場合は、年金事務所で確認するのが確実です。
なお、金額についての詳細は「うつ病で受給できる障害年金3級の金額は?【社労士監修】」で解説しています。

参考:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
障害基礎年金と障害厚生年金の違いに関するよくある誤解
ここでは、障害基礎年金と障害厚生年金の違いに関してよくある誤解をまとめています。
厚生年金に入っていれば障害厚生年金がもらえる
障害厚生年金の対象になるかどうかは、現在の加入状況ではなく、初診日にどの年金制度に加入していたかで決まります。
現在は会社員として厚生年金に加入していても、初診日の時点で自営業者などとして国民年金に加入していた場合は、障害基礎年金の対象となります。反対に、現在は退職して国民年金に加入していても、初診日が厚生年金加入中であれば、障害厚生年金の対象になります。
同じ等級なら金額も同じである
障害基礎年金は定額制のため、等級が同じであれば基本的に同じ金額になります。一方、障害厚生年金は報酬比例制のため、同じ等級であっても、加入期間中の収入や加入期間によって金額が異なります。
この仕組みの違いを知らないと、「なぜ自分と同じ等級の人と金額が違うのか」と戸惑ってしまう場面もあるため、正しく理解しておきましょう。
障害厚生年金3級なら障害基礎年金も上乗せされる
障害基礎年金が上乗せされるのは、障害厚生年金の1級・2級に該当した場合のみです。3級の場合は障害厚生年金のみの支給となり、障害基礎年金の上乗せはありません。
等級によって受け取れる年金の組み合わせが変わる点は、誤解されやすいところです。
会社員は基礎年金をもらえない
会社員として厚生年金に加入していた場合でも、障害厚生年金1級・2級に該当すれば、障害基礎年金もあわせて受給できます。
「会社員だから厚生年金だけ」というわけではなく、等級によっては両方を受け取れる可能性がある点を押さえておきましょう。
障害の重さの基準そのものが、基礎年金と厚生年金で異なる
障害の程度を判断する基準(障害認定基準)は、基礎年金・厚生年金で共通しています。異なるのは、その基準に基づいて認定された等級のうち、どこまでを支給対象とするかという範囲です。
基礎年金は1級・2級のみを支給対象とし、3級相当と判断された場合は支給対象外となります。「基準自体が違う」のではなく、「支給対象となる等級の範囲が違う」と捉えるほうが実態に近いといえます。
障害基礎年金と障害厚生年金は併給できる
どのような場合でも併給できるわけではありません。等級によって扱いが分かれます。
あわせて受給できるのは1級・2級のときです。初診日に厚生年金に加入していて、障害等級が1級または2級と認定された場合は、障害厚生年金に加えて障害基礎年金も支給されます。いわゆる「2階建て」の状態です。
これは正確には「併給調整」ではなく、同じ初診日・同じ障害という同一の支給事由に基づいて、1階部分(基礎)と2階部分(厚生)があわせて支給される仕組みです。
一方で、障害基礎年金には3級の区分がないため、3級と認定された場合は障害厚生年金だけの支給となります。障害基礎年金の上乗せはありません。
障害基礎年金・障害厚生年金は切り替えられる
原則として、後から障害基礎年金・障害厚生年金が切り替わることはありません。どちらになるかは、初診日に加入している年金制度によって決まるためです。
初診日は過去の事実ですので、その後の働き方や加入状況によってさかのぼって変わることはありません。
ただし、一見すると切り替わったように見えるケースはあります。
たとえば、障害厚生年金3級を受給していた方の症状が悪化し、額改定請求などによって2級以上と認定されると、障害基礎年金が上乗せされます。
これは制度そのものが切り替わったわけではなく、同じ障害厚生年金のまま等級が変わった結果、1階部分が加わったと理解するのが適切です。
反対に、更新時に2級から3級へ変更されると、障害基礎年金の部分がなくなります。
障害年金制度が複雑で違いがわからない方は社労士に相談を
障害基礎年金と障害厚生年金は、初診日にどちらの年金制度に加入していたかによって決まり、対象となる等級や支給額の計算方法、加算の内容などに違いがあります。
障害年金は、制度が複雑なぶん、誤解も生じやすくなっています。そこで、障害年金専門の社労士に相談することから始めてみるのはいかがでしょうか。
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