専業主婦がうつ病で働けないときはどうすればいい?使える制度と進め方
「家事もままならない状態なのに、働きに出るなんて考えられない」
「収入がない専業主婦は、支援の対象外ではないだろうか」
「夫に負担をかけている申し訳なさから、誰にも相談できない」
うつ病の症状を抱えながら専業主婦として過ごしていると、つらさを言葉にする機会自体が少なくなりがちです。職場のように欠勤や早退という形で状況が残らないぶん、周囲にも自分にも変化が見えにくくなります。
この記事では、専業主婦がうつ病で働けないときに知っておきたい内容を、病気の解説ではなく生活と手続きの面から整理します。今の状況を言葉にする方法、立場によって使える制度と使いにくい制度の違い、家族や主治医への伝え方までをお伝えします。
最初に取り組めることは、次の3つです。
- 今の困りごとを短く書き留めておく
- 加入している年金や健康保険を確認する
- 判断を一人で抱え込まず、無料で相談できる窓口を使う
障害年金を受給できるかどうかは、初診日・保険料の納付状況・障害の状態・提出書類の内容などをもとにした審査で決まります。記事の内容は一般的な整理であり、個別の結果をお約束するものではありません。
なお、この記事を執筆・監修する全国障害年金パートナーズは、うつ病をはじめとする精神疾患の障害年金を専門に扱う社労士事務所です。累計3,000名以上・年間約500名の受給をサポートしてきました。電話とメールで全国から相談を受け付けているほか、郵送物に社名や「障害年金」という言葉を記載しない配慮も行っています。外出が難しい方や、家族に知られたくない方も利用できます。受給の可能性は5分ほどの無料判定で確認できるので、下記からお試しください。
うつ病の専業主婦が「働けない」と言い出しにくい理由

働けない状態にあると自分では感じていても、家族や主治医に言い出せないまま時間が過ぎてしまう方がいます。理由は、気持ちの強さや性格の問題だけではありません。
専業主婦という立場には、つらさが外から見えにくくなる事情があります。本章では、言い出しにくさにつながる3つの事情を整理します。
欠勤や早退のように、体調の変化が記録に残らないから
会社に勤めていれば、欠勤・遅刻・早退・休職という形で、体調の変化が記録として残ります。給与明細や勤怠のデータを見れば、いつから調子を崩したのかを後から確認できます。
家庭で過ごしている場合、同じように調子を崩していても、状況を示すものが何も残りません。記録がないぶん、「いつから、どのくらい悪いのか」を自分でも説明しづらくなります。
言葉にしづらいことと、状態が軽いことは別の問題です。記録がないという理由だけで、つらさを小さく見積もる必要はありません。
家事は「できた日」だけが目に見えやすいから
家事は、終わった結果だけが形として残ります。洗濯物が干してあれば「できた」とわかりますが、一日動けずに何も手をつけられなかった日は、外から見えません。
家族が代わりに食事を用意したり掃除を済ませたりすると、困りごとはさらに見えにくくなります。周囲からは、生活が回っているように映ってしまいます。
本人も、たまたま動けた日の記憶を基準にして「まだ大丈夫」と考えやすくなります。調子の良い日ではなく、動けない日がどのくらいあるかを基準に考えてみてください。
「家にいられるのだから」と受け取られやすいから
友人や親族から悪気なく「家にいられていいね」と言われ、以降は話せなくなったという声は少なくありません。立場を理解してもらうために、前提から説明する必要があり、負担が大きいためです。
収入を得ていないという意識から、公的な制度を使うこと自体をためらう方もいます。「もっと大変な人がいる」と考えて、相談の手前で止まってしまうケースです。
ただし、制度の対象になるかどうかは、収入の有無だけで決まるわけではありません。ためらう気持ちがあっても、要件を満たすかどうかを確認すること自体に問題はありません。
うつ病で働けない主婦の過ごし方で意識したい4つのこと
体調が安定しない時期は、一日をどう過ごせばよいのか迷いやすいものです。家事も仕事もできない時間が続くと、自分を責める気持ちが強くなることもあります。
ここでは、療養中の過ごし方として意識したい4つの点をお伝えします。後の手続きにもつながる工夫を中心に整理します。
家事の優先順位を下げる
すべての家事を以前と同じ水準で維持しようとすると、負担が積み上がります。まずは、手を抜いてよい家事と、そうでない家事を分けてみてください。
分け方の一例は次のとおりです。
- 毎日でなくてよい家事を決める(掃除、アイロンがけなど)
- 家族に任せる家事を決める(買い物、ごみ出しなど)
- 外部のサービスに置き換えられる家事を探す(宅配、総菜、家事代行など)
優先順位を下げた結果できなかったことも、後述する記録に残しておくと役に立ちます。
その日の困りごとを短くメモしておく
体調の波は、後から思い出そうとしても正確には再現できません。日付と一行だけでよいので、当日の状況を書き留めておくと、主治医や窓口に伝えるときの材料になります。
書く項目の例は次のとおりです。
- 食事を何回とれたか、自分で用意できたか
- 入浴や着替えができたか
- 外出できたか、買い物に行けたか
- 家族以外の人と話せたか
- 家族に手伝ってもらったこと
手帳でもスマートフォンのメモでも構いません。続けやすい方法を選んでください。書けない日があっても問題はありません。
横になって過ごす日があっても責めない
一日の大半を横になって過ごす日が続くと、「怠けているのではないか」と自分を責めてしまう方がいます。家族が働いている時間帯であれば、なおさら罪悪感が強くなりがちです。
動けない日があること自体を問題として扱う必要はありません。責める代わりに、動けなかった日として記録に残しておくほうが、後の手続きでは役に立ちます。
働き始める判断を急がない
体調が上向いた時期に、一気に元の生活へ戻そうとする方は少なくありません。家計への不安が強いほど、求人探しを急ぎがちになります。
働き始めるかどうかは、自分だけで決めず、主治医に相談したうえで判断してください。勤務時間や仕事内容によって負担は大きく変わるため、具体的な働き方まで含めて相談すると判断しやすくなります。
経済的な見通しが立つと、判断を急がずに済みます。働く前に生活の土台を整える方法として、公的な制度を確認しておくのが良いでしょう。
専業主婦がうつ病で働けないときに使える制度

病気で働けないときに使える公的な制度は複数あります。ただし、加入している年金や健康保険によって、対象になるものとならないものが分かれます。
ここでは、専業主婦の立場で利用を検討しやすい制度を、目的別に整理します。加入状況は、ねんきん定期便やねんきんネット、健康保険の資格情報で確認できます。
医療費や税の負担を軽くする制度
通院が長く続くと、医療費の負担が家計に重くのしかかります。負担を軽くする制度から確認しておくと、治療を続けやすくなります。
| 制度名 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 自立支援医療(精神通院医療) | 精神科への通院医療費の自己負担が原則1割になり、所得に応じて月額の上限が設定される | 市区町村の担当窓口 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 所得税や住民税の障害者控除、自治体ごとの割引などの対象になる場合がある | 市区町村の担当窓口 |
| 高額療養費制度 | 入院などで医療費が高額になった場合に、自己負担の上限を超えた分が払い戻される | 加入している健康保険 |
| 重度心身障害者医療費助成 | 自己負担分を自治体が助成する制度。対象や助成内容は自治体によって異なる | 市区町村の担当窓口 |
自立支援医療と精神障害者保健福祉手帳は、同じ診断書で同時に申請できる場合があります。主治医に相談してみてください。
生活を支える制度
医療費以外の生活費についても、相談できる窓口や制度が用意されています。給付と貸付では性質が異なるため、違いを踏まえて検討してください。
| 制度名 | 内容 | 相談先 |
|---|---|---|
| 生活困窮者自立支援制度 | 生活の困りごと全般を相談でき、支援プランの作成や住居確保給付金の案内を受けられる | 自治体の相談窓口 |
| 生活福祉資金貸付制度 | 低金利または無利子で生活資金を借りられる。給付ではなく返済が必要 | 社会福祉協議会 |
| 生活保護 | 資産や他の制度を活用しても最低生活費に満たない場合に不足分が支給される。世帯単位で判断される | 福祉事務所 |
| 障害年金 | 病気やけがで生活や仕事に支障が出ている場合に支給される公的年金。うつ病も対象になり得る | 年金事務所、市区町村の年金窓口 |
障害年金については、「保険料を自分で納めていないから対象外だ」と考える方が多くいます。実際には、配偶者の扶養に入っている方の多くが該当する国民年金の第3号被保険者の期間は、保険料を納めた期間として扱われます。
受給できるかどうかは、初診日・保険料の納付状況・障害の状態・提出書類の内容などをもとに審査で判断されます。専業主婦であることだけを理由に、対象から外れるわけではありません。
障害年金の要件やうつ病で利用できる制度の全体像については、下記の記事で詳しくお伝えしています。


専業主婦がうつ病で働けないときに使いにくい制度
病気で働けないときの制度として広く知られているものの中には、専業主婦の立場では対象になりにくいものがあります。仕組みを知らないまま申請の準備を進めると、時間と体力を使ってしまいます。
本章では、対象になりにくい制度を3つ取り上げ、あわせて例外にあたるケースも整理します。
傷病手当金
傷病手当金は、会社員や公務員として健康保険に加入している本人が、病気で働けない期間の収入を補う制度です。給与の支払いがない期間について、健康保険から支給されます。
配偶者の扶養に入っている方は、被扶養者という立場であり、被保険者本人ではありません。加入者本人を対象とする制度であるため、原則として対象になりません。

失業保険(雇用保険の基本手当)
失業保険は、働く意思と能力があり、求職活動をしている方を対象とした制度です。退職していることも前提になります。
療養が必要な時期は、すぐに働ける状態とみなされない場合があります。現在就労しておらず、退職から時間が経っている場合は、対象になりにくくなります。
労災保険
労災保険は、仕事による強い心理的負荷が原因で病気を発症したと認められた場合に給付を受けられる制度です。認定には、発症前の一定期間に強い負荷があったことなどが求められます。
現在就労していない専業主婦の立場では、直接の対象にはなりにくい制度といえます。
過去に働いていた時期がある場合の例外
現在は専業主婦であっても、過去に働いていた時期があれば、対象になる可能性が残るものもあります。見落とされやすいため、次の点を確認してみてください。
- 退職日までに一定の加入期間があり、退職時点で傷病手当金を受けているか受けられる状態にあり、退職後も同じ病気による労務不能が続く場合は、残りの支給期間について継続給付を受けられることがある
- 退職から時間が経っていても、受給期間の延長手続きをしていれば、体調が回復してから失業保険を受け取れる場合がある
- 過去の勤務が発症の原因である場合、労災保険の申請を検討できる余地がある
障害年金についても、初診日に厚生年金保険の被保険者だった場合は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。パート勤務でも加入状況によって扱いが異なるため、年金記録を確認してください。初診日がいつだったかは、受給できる年金の種類を左右する重要な点です。
何年も前の受診について記憶が曖昧な場合もあります。診察券やお薬手帳、健康保険の利用履歴などが手がかりになることもあるため、すぐにあきらめず確認してみてください。
うつ病で働けない状態を家族や主治医に伝える3つのコツ

制度を使うかどうかにかかわらず、今の状態を周囲に正しく伝えられているかどうかは、療養の進み方に影響します。診察時間は短く、家族も日中の様子をすべて見ているわけではありません。
ここでは、伝える相手ごとに意識したい3つのコツをお伝えします。
- 主治医には診察室で見えない生活を伝える
- 家族にはしてほしいことまで言葉にする
- 伝えるのが難しいときは相談窓口を頼る
詳しく見ていきましょう。
主治医には診察室で見えない生活を伝える
診察は限られた時間で行われ、体調の良い日に受診することもあります。診察室での様子だけでは、日常生活の困りごとは伝わりません。
「つらい」という言葉だけでなく、できなかった場面と頻度をそえると伝わりやすくなります。
| 伝わりにくい例 | 伝わりやすい例 |
|---|---|
| 最近つらいです | 3日間、買い物に出られませんでした |
| 入浴できない日があります | 週に1回しか入浴できず、家族に促されないと難しい状態です |
| よく眠れません | 週4日ほど夜中に目が覚め、日中も2時間ほど横になっています |
話すのが難しいときは、書き留めたメモを持参して渡す方法もあります。口頭で伝えきれない内容も、文字であれば正確に届きます。
家族にはしてほしいことまで言葉にする
状態を伝えるだけでは、家族も何をすればよいのかわからないままになります。代わってほしい家事や、控えてほしい声かけを具体的に挙げてみてください。
伝え方の例は次のとおりです。
- 夕食の準備を週に3回代わってほしい
- 「今日は何をしていたの」と聞かれると答えに困るので、控えてほしい
- 通院の日は付き添ってほしい
「甘えと思われそうで言えない」と感じる場合は、気持ちではなく事実から伝える方法もあります。できなかった家事を淡々と挙げるだけでも、状況は伝わります。
伝えるのが難しいときは相談窓口を頼る
家族に話しづらい場合、外部の窓口を先に頼る方法もあります。整理を手伝ってもらってから家族に話す順番でも問題はありません。
精神保健福祉センターは、本人だけでなく家族からの相談も受け付けています。制度や手続きについては、市区町村の窓口や年金事務所でも相談できます。
相談先ごとの特徴は、下記の記事で比較しています。

専業主婦がうつ病で働けないときによくある質問
制度を調べ始めると、家計や家族との関係について新しい疑問が出てきます。申請の手前で迷いが生じやすい点でもあります。
ここでは、専業主婦の方から寄せられることの多い4つの質問にお答えします。
障害年金を受け取ると、夫の扶養や税金に影響しますか?
税法上の扶養については、障害年金が非課税所得として扱われるため、受給を理由に外れることはありません。年末調整で金額を記入する必要もありません。
社会保険上の扶養は、判断の基準が異なります。協会けんぽの場合、障害年金を受給している方は年間収入180万円未満が認定の目安とされています。
加入している健康保険によって基準が異なる場合もあります。扶養と障害年金の関係は、下記の記事で詳しくお伝えしています。

家族に知られずに手続きを進めることはできますか?
手続きは本人と行政機関の間で行われます。自分から伝えない限り、周囲に通知されることは基本的にありません。
ただし、自宅に届く書類から同居している家族に知られる可能性はあります。郵便物の扱いについては、あらかじめ考えておくと安心です。
私たち「全国障害年金パートナーズ」では、郵送物に社名や「障害年金」という言葉を記載せず、担当社労士の名前だけが見える形でお送りしています。
体調が回復して働き始めたら、制度は打ち切りになりますか?
制度ごとに扱いが異なり、働き始めた時点で一律に終了するわけではありません。
障害年金の場合、うつ病をはじめとする精神疾患では有期認定となることが多く、1年から5年ごとに更新の手続きがあります。更新の時点での症状や生活状況に応じて、受給を続けるかどうかが判断されます。
一生受け取り続ける制度でも、働き始めた瞬間に終わる制度でもありません。更新の仕組みは、下記の記事でお伝えしています。

家族にうつ病のことを話せていなくても相談できますか?
家族に共有していない段階でも、窓口への相談はできます。相談したからといって、必ず申請へ進まなければならないわけでもありません。
電話が負担に感じる場合は、メールやフォームで相談を受け付けている窓口を選ぶ方法もあります。体調の良い時間帯に、少しずつ進めてください。
専業主婦がうつ病で働けないと感じたら、まず現状の確認から始めよう
専業主婦としてうつ病を抱えていると、職場のように状況が記録に残らないため、つらさが周囲にも自分にも見えにくくなります。まずは日々の困りごとを短く書き留めておくことが、主治医に伝えるときにも、制度を利用するときにも役に立ちます。
使える制度は、加入している年金や健康保険によって分かれます。傷病手当金や失業保険のように対象になりにくいものがある一方で、自立支援医療や生活困窮者自立支援制度、障害年金のように、専業主婦の立場でも検討できる制度があります。過去に働いていた時期があれば、選択肢がさらに広がる場合もあるのです。
障害年金を受給できるかどうかは、初診日・保険料の納付状況・障害の状態・提出書類の内容などをもとにした審査で決まります。一人で判断するのが難しい部分でもあるため、確認の段階から専門家を頼る方法もあります。
私たち「全国障害年金パートナーズ」は、うつ病による障害年金の申請を専門にサポートしています。累計3,000名以上・年間約500名の受給をサポートしてきた実績があり、障害年金の成功率は98.98%です。初診日がはっきりしない方や、他の事務所で難しいと言われた方からの相談にも対応しています。無料で現在の状況を整理しながら受給の可能性を確認できるので、ぜひ試してみてください。



