うつ病で休職しても給料はもらえる?傷病手当金や障害年金も解説
うつ病で休職することになったとき、頭をよぎるのは「給料はどうなるの?」といった不安ではないでしょうか。
結論から言うと、うつ病で休職中の給料は、原則として支払われません。
ただし、多くの方が傷病手当金や障害年金といった制度を利用することで、生活を維持しています。
実際に、私のもとにご相談いただく方の多くも、これらの制度を活用することで収入の不安を解消されています。
この記事では、休職中の給料やボーナスから、長期化した場合に使える傷病手当金や障害年金まで、あなたの生活を守るためのお金についてわかりやすくお伝えします。
解説するのは、累計2,500名以上の障害年金受給をサポートしてきた全国障害年金パートナーズの宮里です。
なお、障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に現役世代の方も含めて受け取れる年金のことです。うつ病の方も対象となっており、症状によっては障害年金をもらえる可能性があります。
もし自分が障害年金を受けられるか気になる方は、無料判定を受けてみませんか。以下のリンクより、約5分でできるので、ぜひお試しください。
うつ病で休職中の給料は、原則として支払われない

会社には休職中の従業員に給料を支払う義務はありません。
民法第五百三十六条により、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」と定められているためです。
ただし、就業規則によっては一定期間の有給休職制度を設けている会社もあるため、まずは自社の就業規則を確認することが重要です。
また、ボーナスは、査定期間中の出勤状況が反映されるため、休職期間が長くなるほど減額・不支給になるケースが多くなります。通勤手当をはじめとした手当も、休職中は不支給となるのが一般的です。
ただし、給料が出ない間も、健康保険や厚生年金などの社会保険料の支払いは続きます。
うつ病で休職中のときには傷病手当金の受給が可能
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休み、給料が支払われない場合に生活を保障するために健康保険から支給されるお金のことです。
ここでは、傷病手当金の支給額や受給要件を解説します。
傷病手当金の支給額
傷病手当金の支給額は、標準報酬日額の3分の2が目安となります。
たとえば月給が30万円の場合、受け取れる金額は20万円程度です。ただし、傷病手当金は非課税です。
さらに詳しくいうと、傷病手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算式で求められます。
支給日額 = 標準報酬月額の過去12か月平均 ÷ 30日 × 3分の2
標準報酬月額とは、実際の給与をもとに健康保険上で区分された金額のことです。給与明細や健康保険証に記載されているほか、勤務先の総務・人事担当者に確認することもできます。
残業代や通勤手当なども含めた総支給額をベースに決定されるため、基本給とは異なる場合があります。
傷病手当金の4つの受給要件
次の4つの要件をすべて満たした場合、傷病手当金を受け取れます。
- 業務外の事由による病気やケガである(仕事が原因なら労災保険になる)
- 仕事に就けない(医師の証明が必要になる)
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
- 休んでいる期間、給料の支払いがない(給料が出ていても傷病手当金より少ない場合は差額が支給される)
受給要件の詳細や申請方法については、加入している健康保険組合または協会けんぽの窓口・公式サイトで確認できます。
不明点は勤務先の総務・人事担当者に相談するのもひとつの方法です。
アルバイトでも健康保険に加入していれば傷病手当金を受給可能
正社員でなくても、職場の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に加入していれば、アルバイトやパートでも受給対象です。
職場の健康保険への加入は、正社員であれば原則として義務付けられています。アルバイト・パートの場合は、以下の条件を満たすと加入対象です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上が目安)
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 従業員51人以上の企業に勤めている
なお、これらの条件を満たさず、職場の健康保険に加入していない方や、自営業・フリーランスなどで国民健康保険に加入している方は、原則として傷病手当金の制度は利用できません。
傷病手当金の申請の流れ
傷病手当金の申請方法の主な流れは、以下のとおりです。
- 申請書を入手する
- 医師に証明を書いてもらう
- 会社に証明を書いてもらう
- 保険者へ提出(郵送)する
①申請書を入手する
まずは「健康保険傷病手当金支給申請書」を手に入れます。
会社の総務・人事担当者からもらうか、加入している健康保険(協会けんぽや健保組合)のWEBサイトからダウンロードして印刷します。
②医師に証明を書いてもらう(療養担当者記入欄)
申請書には、医師の証明欄があります。かかりつけの医師に、働けなかった期間は、労務不能であった旨を証明してもらってください。
診断書とは異なり、申請書の所定欄に書いてもらいます。作成には文書料(数百円〜数千円程度)がかかります。
③会社に証明を書いてもらう(事業主記入欄)
申請書には、事業主の証明欄もあります。会社に依頼して「休んだ期間、給料を支払っていない旨(または減額された旨)」と「出勤簿の状況」を証明してもらってください。
依頼先は、総務部や人事部の担当者です。
④保険者へ提出する
申請書の「被保険者(あなた)記入欄」「医師記入欄」「事業主記入欄」のすべてが埋まったら、加入している健康保険の窓口へ提出(郵送)します。
在職中の場合は、会社経由で提出してくれるケースが多いので、一度確認してください。ただし、退職後の場合は、自分で直接郵送します。
傷病手当金がもらえる期間

傷病手当金は、支給開始日から最長1年6か月(通算)受け取れます。
過去に傷病手当金をもらったことがあっても、まったく別の病気やケガであれば、過去の受給歴に関係なく、再び傷病手当金を受給できます。
傷病手当金は、1つの病気やケガごとに支給期間(最長1年6か月)が設定されます。受給回数に制限はありません。
たとえば、過去に「がん」で傷病手当金を受給していた方が、復職後に「うつ病」を発症して休職した場合、うつ病による休職に対して、新たに最長1年6か月分の傷病手当金が支給されます。

すでに傷病手当金を受給している間に、別の病気やケガで休職が必要になった場合でも、新たな傷病について受給権が発生することがあります。
ただし、傷病手当金を二重にもらえるわけではありません。支給期間が重なる場合は、金額が高いほうが支給され、もう一方は調整により支給停止となります。
注意したいのは、同じ病気が再発して再び休職するケースです。うつ病のように再発しやすい病気では、いったん復職して給与を受け取っていた期間があっても、前回の支給期間である1年6か月の範囲内でしか受給できないことがあります。
一方で、症状が改善し、一定期間通常どおり勤務できていた場合は、保険者の判断によって別の傷病とみなされ、新たに最長1年6か月の支給対象となる可能性もあります。
判断は個別事情によって異なるため、健康保険組合や社労士などの専門家に確認しましょう。
なお、1年6か月を過ぎても回復が難しい場合は、次の選択肢として障害年金の検討も必要になります。
うつ病で休職したときに利用できるその他の制度・手当
うつ病で休職した場合には、傷病手当金を受給できます。一方で、「傷病手当金以外にも利用できる制度はないの?」と思われたかもしれません。
結論として、以下の制度の利用や手当の受給が可能であり、具体的には次のとおりです。
- 自立支援医療制度
- 精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)
- 労災保険給付の請求
詳しく見ていきましょう。
自立支援医療制度
自立支援医療制度とは、精神疾患の治療のために通院する場合、医療費の自己負担が軽減される制度のことです。精神疾患には、うつ病やてんかんなどが挙げられます。
通常の健康保険では医療費が3割負担なところが、この制度を利用すると原則1割負担になるのが大きな特徴です。
また、世帯の所得に応じて「月額上限額(例:2,500円、5,000円など)」が設定されます。
上限を超えた分は支払う必要がなくなるため、通院回数が多い方や薬代が高い方には大きな助けとなります。ただし、あらかじめ登録した医療機関・薬局でのみ有効です。
申請の流れは以下のとおりです。
- 主治医に「自立支援医療診断書」の作成を相談・依頼する
- 申請書や保険証の写しなどの書類をそろえる
- 住んでいる市区町村の担当窓口(障害福祉課など)に提出する
受給者証の有効期限は1年間なので、毎年忘れずに更新手続きを行う必要があります。
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)
税金が安くなったり公共サービスが割引になったりすることで、結果的に手元に残るお金を増やせます。最たる例は、精神障害者保健福祉手帳です。
精神障害者保健福祉手帳とは、うつ病などの精神疾患がある旨を証明する手帳です。取得することで、さまざまな優遇措置を受けられます。具体的には次のとおりです。
| 優遇措置の例 | 内容 |
|---|---|
| 税金の控除(障害者控除) | 所得税や住民税の計算において、一定額が控除(差し引き)されます。ご本人が働いている場合はもちろん、ご家族の扶養に入っている場合、そのご家族の税金が安くなるメリットがあります。 |
| 公共サービスの割引 | 自治体や事業者によりますが、バス・タクシー・鉄道・映画館・美術館などの料金割引を受けられる場合があります。 |
| 障害者雇用での就職 | 症状が回復して再就職を目指す際、障害者雇用枠での応募が可能になり、体調に配慮した環境で働きやすくなります。 |
申請の流れは以下のとおりです。
- 住んでいる市区町村の担当窓口(障害福祉課など)で書類を受け取る
- 医師に診断書を作成してもらう(初診日から6か月以上経過している必要があります)
- 住んでいる市区町村の担当窓口(障害福祉課など)に書類を提出する
都道府県の審査を経て、等級(1〜3級)が決定されます。後日、自宅に手帳が郵送されるか、窓口で受け取ります。
精神障害者保健福祉手帳を取得しても、自分から言わない限り会社や周囲に知られるケースはほとんどないでしょう。手帳を持つことによるデメリットについては、下記の関連記事で詳しく解説しています。合わせてご一読ください。

労災保険給付の請求
労災保険給付の請求とは、会社で働いている方が、業務中や通勤中に病気やケガになったときに、治療費や休業中の補償などを受けるための手続きのことです。
対象となるのは、業務が原因の病気や仕事中の転倒、機械事故、通勤途中の事故などです。たとえば、長時間労働によるうつ病も対象となり得ます。
労災保険では、療養補償給付や休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付などが用意されています。

うつ病が長引いたら障害年金も検討しよう

うつ病で休職するときに視野に入れたいのが障害年金です。うつ病でも要件を満たせば受給できる制度で、私たち「全国障害年金パートナーズ」は年間約500名の申請サポートをしています。
ここからは障害年金の具体的な内容や要件について見ていきましょう。
障害年金とは病気やケガによって支障があるときの公的年金
障害年金とは、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が生じた場合に受け取れる公的年金のことです。
うつ病などの精神疾患も対象となっており、年間の受給額はおよそ60万円から、状況によっては200万円を超えるケースもあります。

うつ病で障害年金を受けるための3つの要件

障害年金の受給には、初診日要件・保険料納付要件・障害状態要件の3つを満たす必要があります。
- 初診日要件:初めて医師の診察を受けた日(初診日)に年金に加入している
- 保険料納付要件:初診日の前日時点で一定期間の保険料を納めている
- 障害状態要件:障害認定日(初診日から1年6か月後)または申請時点で一定の障害状態にある
なお、「初診日」とは初めて医師の診察を受けた日のことで、精神科や心療内科に限らず、内科などで最初に症状を訴えた日が初診日となる場合もあります。
障害年金は会社・同僚に知られる?
障害年金の受給は、会社や同僚に通知されません。ご自身から伝えない限り、職場に知られるケースは、ほぼないと考えて良いでしょう。
ただし、年金証書などの書類が自宅に届き、同居している家族に知られる可能性はあります。
なお、全国障害年金パートナーズでは、郵送物に社名や「障害年金」といった言葉を記載していません。担当社労士の名前だけが封筒から見えるよう配慮したうえで本人にお届けしています。
障害年金と傷病手当金は併給できる?
障害年金と傷病手当金は、同時期に受給する場合、調整が入ります。
両方満額もらえるわけではなく、障害年金の額が優先され、傷病手当金はその差額分のみ支給される仕組みです。
一般的には、傷病手当金(最大1年6か月)を使い切ってから障害年金へ移行するケースが多いです。早めに障害年金を申請しておくと、切れ目なく生活費を確保できるメリットがあります。
うつ病で休職したときの給料・お金に関する質問
うつ病で休職したときの給料やお金に関する質問に回答します。
Q. 休職したら給料はいつから止まりますか?
会社の規定によって異なりますが、一般的な流れは以下のとおりです。
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 休職開始〜数か月 | 有給休暇を消化している間は給料が出る |
| 有給休暇を消化している間 | 多くの会社では給料がストップ(無給休職) |
| その後(会社によっては) | 休職開始から一定期間、給料の一部を補償する制度が存在する会社もある |
就業規則の「休職規定」に給料の扱いが記載されています。総務部や人事部など、会社の担当部署に確認するとよいでしょう。
Q. 傷病手当金は手取りベースでいくらもらえますか?
傷病手当金の支給額は、標準報酬日額の3分の2が目安となります。傷病手当金は非課税ですが、以下の控除が適用されます。
| 控除項目 | 内容 |
|---|---|
| 健康保険料 | 休職中も支払い継続 |
| 厚生年金保険料 | 休職中も支払い継続 |
| 住民税 | 前年所得に対して課税(別途納付) |
| 所得税 | かからない(非課税) |
目安としては、月収の約44〜50%程度が実質的な手取りになるケースが多いです。
たとえば、月収30万円の場合は、傷病手当金が約20万円で保険料等控除後は約15〜17万円になる計算です。
Q. 会社からの給料と傷病手当金は同時にもらえますか?
原則として併給不可です。以下のいずれかとなります。
- 給料が傷病手当金より多い場合:傷病手当金は支給停止
- 給料が傷病手当金より少ない場合:差額分のみ傷病手当金が支給
- 給料がゼロの場合:傷病手当金が全額支給
Q. 傷病手当金を申請していますが、振込みはいつになりますか?
一般的には申請から2〜3週間程度で振り込まれますが、保険者や申請内容によってはそれ以上かかる場合もあります。
なお、電子申請した場合は、進捗状況をWEB上で確認できます。
Q. 傷病手当金を受給していましたが、会社を退職することになりました。退職後の期間についても傷病手当金を申請できますか?
下記の2点を満たしている場合、退職後も引き続き残りの期間について傷病手当金を受け取れます。
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (任意継続被保険者や共済組合の組合員である被保険者または国民健康保険に加入していた期間を除く)がある
- 資格喪失時に傷病手当金を受けている、または、受ける条件を満たしている
なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないため、傷病手当金がもらえなくなります。注意してください。
Q. 傷病手当金が終わった後の収入はどうなりますか?
傷病手当金(1年6か月)が終了した後の選択肢の例は以下のとおりです。
- 復職の場合:新たな職場で給料をもらえる
- 失業給付(雇用保険)の場合:退職後、就労可能な状態であれば受給できる(傷病手当金との同時受給は原則不可)
- 障害年金の場合:一定の障害状態であれば受給できる
- 生活保護の場合:ほかの手段がない場合の最終セーフティネットになる
H3:Q. 傷病手当金と障害年金は同時にもらえますか?
傷病手当金と障害年金の同時受給は可能ですが、調整による減額があります。
障害厚生年金が支給される場合、傷病手当金は障害年金の日割り額が差し引かれた差額のみ支給されます。多くの場合、障害年金のほうが多く、傷病手当金は実質ゼロになるケースも少なくありません。
なお、障害年金は、原則として、初診日から1年6か月が経過した「障害認定日」以降に申請できます。
傷病手当金の受給期間(1年6か月)が終わる頃に申請のタイミングが重なる場合が多いため、傷病手当金を受給しながら早めに、私たち「全国障害年金パートナーズ」のような専門家に相談しておきましょう。
Q. うつ病の場合、障害年金を自分で申請するのは難しいですか?
障害年金の申請書類は多く、記載内容によって審査結果が大きく変わるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
全国障害年金パートナーズでは、まず約5分の無料受給判定からご対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。
うつ病で休職中なら傷病手当金や障害年金について知ろう
うつ病で休職をすると給料がどうなるのかといった不安を感じるのは、決して悪いことではありません。きちんと要件を確認し申請すれば、傷病手当金がもらえるため、当面の生活は送っていけるでしょう。
なお、傷病手当金の受給条件は以下のとおりです。
- 業務外の事由による病気やケガである(仕事が原因なら労災保険になる)
- 仕事に就けない(医師の証明が必要になる)
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
- 休んでいる期間、給料の支払いがない(給料が出ていても傷病手当金より少ない場合は差額が支給される)
条件を満たせば、アルバイト・パートの方も対象です。
傷病手当金は、生活の支えとなるお金ですが、通年1年6か月しか受給できません。うつ病がなかなか治らず、復職が難しいようであれば、障害年金の受給も検討するとよいでしょう。
私たち「全国障害年金パートナーズ」は、これまで2,500名以上の障害年金申請をサポートしてきました。
相談にいらっしゃる方から「傷病手当金については知っていたが、障害年金のことは知らなかった」と言われる方も少なくありません。
障害年金は、手続きのための書類集めから、振り込まれるまでに3~5か月程度かかる場合も少なくありません。将来のことも考えると、傷病手当金の後にもらえるお金のことを考えておくほうが安心できます。
私たち「全国障害年金パートナーズ」では、障害年金の無料受給判定を行っています。約5分の簡単判定ですので、以下のリンクからお気軽にお試しください。



