なぜ宮里は悪徳業者のお姉さんからケーキをおごってもらえたのか？

From：宮里竹識
下北沢のスタバより
私が18歳の頃、山形の大学に通っていました。
沖縄出身の私には東北の山形は非常に寒く、
凍えながらも楽しく大学生活を送っていました。
そんなある日のこと、
アパートに帰るとドアに1枚の紙が挟まっていました。
「おめでとうございます！旅行券があなたに当選しました。
直接お渡ししたいのでこの電話番号に連絡ください」
といった内容です。
会社名も書いておらず連絡先も携帯の番号、
しかも私の両隣の部屋のドアにも同じようなメモが挟まっている。
怪しさ満点です。
普通ならそのメモを捨てて終わりですが、
どういう風に商品を売り込んでくるんだろうという興味が
抑えきれませんでした。
恐る恐る電話をしてみます。
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非通知ではつながりませんでした。
意を決して番号通知でかけてみます
（今考えると信じられないですね）。
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「はい、株式会社●●の加藤です。お電話ありがとうございます」
おっ、今度は電話がつながった。
メモがあったことを伝えると、
当選した旅行券を渡したいので山形駅すぐ側のホテル●●●●まで
きてほしいということでした。
全国展開している有名なホテルで、お値段も高めなところです。
次の日の昼過ぎに待ち合わせをして会うことにしました。
待ち合わせの日、ある意味怖いもの見たさで待ち合わせ場所に行くと、
キレイな女の人が待っていました。
少しドキドキしながら、
立ち話もなんですからということでホテルの中にあるカフェに
移動します。
カフェでコーヒーを注文したあと、
相手の女性（以後、加藤さん）は会社に電話してくるので少しお待ち下さい
と席を立ちました。
それからしばらく待つことになります。
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10分経過
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20分経過
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30分経過
ありえないですよね。
いきなり30分も待たせるなんて。
でも、本当のことです。
正直この時点で帰ろうかと思いました。
しかし、これも悪徳業者の手法だとも思ったのです。
わざと長時間待たせておいて相手がどう動くか見ているのだと。
すぐに帰るような人であればどうせ商品は買ってくれないだろう、
でも相手を気遣って待ち続けるような人であれば騙しやすい。
そんな風に考えているのではと思い、のんびり待つことにしました。
待ち続けること37分、
ようやく加藤さんが戻ってきました。
加藤さん：
大変お待たせして申し訳ありません。
急な問合せで時間をとられてしまいました。
宮里：
いえいえ、大丈夫ですよ。
加藤さん：
コーヒー飲み終わってますよね。
もう一杯注文しますね。
他に何かいりますか？
もちろん私のおごりです。
宮里：
（長い戦いになりそうだ。当分を補給しておこう）
それではケーキを追加でお願いします。
加藤さん：
それでは、見事旅行券を当選された宮里さんに詳細を説明させていただきます。
一生懸命話をしますので、最後まで話を聞いて下さい。
宮里：
わかりました。よろしくお願いします。
加藤さん：
それでは、まずは宮里さんの年齢を教えて下さい。
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このあたりの詳細は省きますが、
私の年齢、住所、職業、出身地、家族構成などの個人情報の収集でした。
当然誤った情報を伝えます。
続き
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加藤さん：
宮里さんは海外旅行いくならどこに行きたいですか？
宮里：
トルコなんかいいですね。
加藤さん：
それは良かったです。
このパンフレットを見て下さい。
宮里：
（なんかボロいパンフレットだな。使い回ししてるのか…）
加藤さん：
私たちのサービスに加入すれば
トルコはもちろん、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジアにも
年2回は行くことができます。
宮里：
へぇ〜
加藤さん：
海外に行くなら英語が必須ですよね。
宮里さん、英語は話せますか？
宮里：
実は苦手なんです。
加藤さん：
それはちょうど良かったです。
なぜなら、英語の教材もついているからです。
この教材はCDROMですので、
パソコンで繰り返し勉強することができます。
さらに、CDROMを使うためのパソコンもついてきます。
宮里：
それはすごいですね。
加藤さん：
ありがとうございます。
でも、それだけじゃないんです。
なんと、車も半額で買えちゃうんです。
今や車は家族一人で一台、5年で買い換える時代です。
今は独身の宮里さんも将来は家庭を持つことになると思います。
4人家族で5年に1回200万円の車を買い替えると30年で4千800万円になるんです。
それが半額です！
これってすごくないですか？
宮里：
そうですね。
加藤さん：
この年2回の海外旅行に英語教材、パソコン、車が半額になる権利、
全部でいくら位の価値があると思います？
宮里：
わかりません。
加藤さん：
だいたいで良いので答えて下さい。
宮里：
（高い金額を言わせておいて、実はこんなに安いんですという流れか。
まじめに答えてみるかな）
2万円くらいだと思います。
加藤さん：
えっ？
もう一度おっしゃってください。
宮里：
高く見積もって2万円くらいです。
加藤さん：
今までの話を聞いていましたか。
他のお客さんだと1億円の価値があるという人もいるんですよ！
宮里：
そこまでの価値は感じません。
加藤さん：
まぁ、価値観は人それぞれですからね。
でもこれが80万円と聞いたら安いと思いませんか？
もちろんローンも組めますので、
一日3回の缶コーヒーを我慢するだけでこんな素敵な生活が手に入ります。
宮里：
まったく魅力を感じません。
車を5年で買い替えるなんて早すぎですし、
家族の車が欲しければ自分で買わせます。
場合によってはこちらで買うかもしれませんが、その時は安い中古車です。
そもそも車を半額で買えるとか年2回の海外旅行に無料でいけるといった
話自体が信用できませんので、価値はありません。
加藤さん：
買う気がないならもっと早く言ってください！
2時間も話し続けて時間を無駄にしたじゃないですか！
宮里：
一生懸命話をしますので最後まで聞いて下さいと言ったのは
誰でしたっけ？
加藤さん：
…
（テープルに広げたカタログや差し出した名刺を回収）
宮里：
（物を残すとまずいので回収するんだな）
話は終わりのようですので、そろそろ帰りますね。
コーヒーとケーキ、ごちそうさまでした。
加藤さん：
◎ゞ□⇒▲◇※！
何か良く分からないことを言っていましたが、
そのまま帰りました。
こうして、悪徳業者からコーヒーとケーキをご馳走になったのですが、
これを読んでるあなたは真似しないでくださいね。
言われなくても大丈夫でしょうけど。
ちなみに、うつ病を発症する人は
元々詐欺に騙されにくい気質の人が多いそうです。
相手の言っていることが本当か注意深く観察できる人が多いそうです。
生真面目に考えすぎる傾向があるためストレスもたまりやすく
うつ病を発症することもあるということでした。
もちろん、うつ状態に陥っているときは気分が落ち込んでいるので
冷静に判断する力も落ちていますし、
そもそもうつ病は誰にでもかかる可能性のある病気です。
今回私は悪徳商法のお姉さんと話しをして無事に帰ってきましたが、
あなたも無事にすむとは限りません。
急な電話や訪問者には注意してください。
悪人は、善人の顔をして現れます。