うつ病による障害年金専門の社会保険労務士事務所

2-5.障害年金の不服申し立て(審査請求と再審査請求)


(1)障害年金の不服申し立て制度について

障害年金の手続きは多大な時間と費用をかけて行いますが、
請求書を提出したからといって必ずしも障害年金が受給できるわけではありません。

実際に障害年金が支給されるかどうかは、
年金決定通知書が手元に届くまでは分かりません。

障害年金請求の結果は、
「支給決定通知」
「不支給決定通知」
「却下通知」
の3つです。

「支給決定通知」が届くと、
障害年金が支給されることになります。

「不支給決定通知」が届くと、
障害の状態が決められた等級に該当しないなどの理由で、
障害年金は支給されないことになります。

「却下通知」が届くと、
保険料納付要件を満たしていないなどの理由で障害年金の審査が行われず、
障害年金も当然支給されないことになります。

不服申し立ては、
「不支給決定通知」や「却下通知」に限られません。

「支給決定通知」が届いた場合でも、
決定された障害等級に納得がいかないといった理由で
不服申し立てを行うことができます。

障害年金の不服申し立ては順序が決まっています。

まず最初に社会保険審査官に対して行う「審査請求」があります。

その審査結果に不服がある場合は、
社会保険審査会に対して「再審査請求」を行うことになります。

この再審査請求にも不服のある場合にはじめて
裁判所に対して行政訴訟を起こすことができるのです。

障害年金は専門性がとても高いことから、
安易に裁判を起こされても簡単に裁判所が対応できるものではありませんので、
裁判の前に行政庁による審査請求や再審査請求を先に行うことが義務づけられているのです。

しかし、
審査請求や再審査請求はこちらの求めが通る可能性は決して高くはありません。

まずは審査請求を行わなくてもすむように、
障害年金の請求を行う段階での準備が最も重要です。

どうしても審査請求が必要になった場合には、
うつ病者や家族だけで対応するのは難しいので、
専門の社会保険労務士に協力を求めましょう。

 

 

(2)審査請求について

審査請求手続き①:審査請求の流れ

障害年金の請求結果に納得いかないときは、
通知を受け取ってから3ヶ月以内であれば、
社会保険審査官に対して審査請求を行い、
障害年金の請求について改めて審査してもらうことができます。

審査請求は口頭または文書で行うことができますが、
通常は文書で行うことになります。

審査請求の手続きは、次のような流れで行います。

 

 

手順1.
審査請求書の入手する
審査請求書は、お近くの年金事務所か地方厚生局社会保険審査官室に
連絡すれば手に入れることができます。

 

手順2.
審査請求書に必要事項を記載し、
管轄の地方厚生局社会保険審査官室へ郵送する

 

手順3.
社会保険審査官から審査請求を受け付けた旨の連絡が届く
審査請求を受け付けた旨の連絡は文書で通知されます。
審査期間は3〜4ヶ月ほどかかることが多いので、
あせらず待ちましょう。

 

手順4.
審査結果の通知審査の結果、
請求が認められた場合には「容認決定」、
請求が認められない場合は「棄却決定」となります。

書類の不備や審査請求の期限である3ヶ月を
過ぎてしまった後に審査請求を行った場合には、
審査の要件を満たさないとして、
審査に入らずに「却下」されることになります。

また、
社会保険審査官は審査請求にあたって
年金事務所と情報のやり取りをするのですが、
その過程で年金事務所が元の障害年金に関する決定を取り消して、
新たな処分を決定することがあります。

この処分変更の場合、
新たな処分に請求人が納得するのであれば、
審査請求は行われずに問題解決となります。

 

 

審査請求手続き②:なぜ自分の障害年金請求がダメだったかを考える

審査請求を行うためには、
先に行った障害年金請求の決定理由を探して、
その決定が誤りであったと主張することになります。

例えば、不支給の決定通知書に次のような文言があったとします。

 

「あなたから障害年金の請求がありましたが、不支給と決定しましたので通知します。その理由は、請求のあった傷病について、障害認定日である平成○年○月○日現在の傷病の状態は、国民年金法施行令別表・厚生年金保険法施行令別表第1表に定める程度に該当していないからとなります」

 

この理由をみてもさっぱり分かりませんよね。

年金事務所に聞いても納得できる回答が得られる可能性は低いので、
自分で考えなければならないのです。

今回の例で不支給となった理由を考えてみます。

まず、
国民年金法施行令別表は障害等級1級と2級の基準を定めたもの、
厚生年金保険法施行令別表第1表は障害等級3級の基準を定めたものとなります。

要するに、
あなたの障害の重さは障害年金を支給するほどの重さではないため、
不支給にするといっているのです。

 

【参照】
うつ病をはじめとした精神障害の場合には、
病状や障害について客観的な数値で判定されることはほとんどありません。

うつ病者や家族が訴える症状や日常生活状況から、
医師が判断して診断書に落とし込んだ内容をもとに審査しています。

どうしても審査者の主観的な判断が入ってしまうことがあるため、
審査請求を行う側からすると、
この主観に誤りがないかという観点で見ていく必要があります。

 

 

審査請求手続き③:障害状態の程度を医師が誤解したことであなたの障害年金が不支給になったかもしれません

障害年金の審査請求を説得力あるものにするため、
当初の障害年金請求がなぜ不支給となったかを考えていく必要があると
先ほどお伝えしました。

次に、不支給決定通知のよくある理由について見ていきたいと思います。

まず考えられるのが、「障害の状態の程度」についてです。

うつ病をはじめとした精神障害の障害年金は、
日常生活状況や日常生活能力が障害等級決定の大きな判断事由となります。

これは、
医師の診断書にどう書かれているかで見られるのですが、
医師が診断書記載の基準をしっかりと理解していない場合に、
障害の程度を軽く表記してしまうことがあるのです。

また、
医師はうつ病者の日常生活を完全に把握しているわけではありません。

病院に診察にきているときの状態で判断しているのですが、
うつ病者は体調が悪いと病院にこれないのですから、
比較的良い状態だけを見て日常生活状況を判断されている可能性もあります。

状態の悪い時、
そして、単身で生活するとしたら行えるかという基準で
日常生活状況・日常生活能力を判断するということが
医師に理解されずに診断書が書かれてしまうと、
実態と異なる診断書ができてしまい、
障害年金の不支給決定につながるのです。

 

 

審査請求手続き④:傷病名の判断が不適切であなたの障害年金が不支給になったかのかもしれません

障害状態の程度が軽く見られることと同様に
障害年金の不支給となりやすい理由として、
傷病名の判断」が不適切であることがあげられます。

特に、
人格障害や神経症を原因傷病名としている場合に注意が必要です。

障害年金の認定基準・認定要領には、
人格障害と神経症について次のような記載があります。

 

人格障害:「人格障害は、原則として認定の対象とならない」

神経症の障害:「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又はそううつ病に準じて取り扱う」

 

人格障害の場合、
障害年金の対象とはならない可能性が非常に高いため
請求段階で別の病名で申請することがほとんどですが、
診断書や申立書の内容などから、
年金事務所側が人格障害と判断して不支給とすることがあるのです。

この場合には、
人格障害ではないという主張を審査請求で行っていくことになります。

神経症を原因傷病とする障害年金請求の場合、
原則障害年金の対象外となりますので、
「臨床症状から判断して精神病の病態を示しているもの
という例外に該当すれば障害年金の対象となります。

しかし、
そのことを診断書に明示していなければ障害年金は不支給となってしまいます。

診断書の備考欄にICD-10コードで病態を記載しているか確認しましょう。

以上が、障害年金請求で不支給となる理由としてよくあげられるものです。

 

 

審査請求手続き⑤:審査請求書の提出

障害年金の審査請求を行うにあたり、
当初の障害年金請求の資料の中から、
不支給になった理由を読み取って、
反論を提出することになります。

その際は、
診断書を何度も何度も見直して不支給となった理由を探していきますので、
根気が必要です。

障害状態の程度について、
診断書の記載が軽度に書かれていたと推測できれば、
実態を再度確認します。

診断書の記載よりも重度であると判断できれば、
それを理由として審査請求します。

しかし、
うつ病者や家族などの当事者の意見だけでは客観性が低いとされ、
審査請求が棄却される可能性が高いといえます。

そこで医師と話し合い、
障害の程度について意見交換をします。

その結果、
医師が見解を変えて診断書の記述をより重度に修正してもらうことができれば、
修正後の診断書を添付して審査請求を行うことになります。

審査請求書が完成したら、
審査請求の理由の裏付けとなる資料とともに
管轄の社会保険審査官室に提出します。

提出方法は、
社会保険審査官室か年金事務所へ持参するか郵送で提出するのが一般的です。

審査請求の期限は
「決定を知った日から3ヶ月以内
となりますが、
審査請求書を持参した場合は役所の受付日、
郵送の場合は消印の日付が基準となります。

郵送の場合は、
日付確認の観点から簡易書留などの方法をとるとよいでしょう。

 

 

審査請求手続き⑥:障害年金の審査請求書提出後の手続き

障害年金の審査請求書を提出したら、
基本的には社会保険審査官の決定を待つだけとなります。

とはいえ、
どういった流れで審査が進むのかを説明しますので、
ぜひ理解しておいて下さい。

 

【1.審査請求書の受付】
社会保険審査官のもとに審査請求書が届くと、
審査請求を受け付けた旨の「審査請求の受付について(通知)」という通知書が届きます。

ただし、この段階では正式に受理されてはいません。

3ヶ月以内に審査請求を行なっているかといった、
審査請求の法的条件が整っていなければ却下とされ、
その旨が通知されます。

軽微な不備であれば補正の連絡がきますので、
すぐに応じるようにしましょう。

却下となった場合には、
再審査請求を行なうか検討することになります。

再審査請求の場合、
審査請求却下の通知が発せられた日の翌日から
2ヶ月以内に行なわなければなりませんので、
ご注意ください。

 

【2.審査】
社会保険審査官が審査請求の受理を決めると、
審査請求があったことを日本年金機構に通知し、
必要な資料の提供を求めます。

場合によっては、
障害年金の請求者や医師へ意見を求めることや
資料の提出を求めることもあります。

受理をしてから決定までの期間は、
3ヵ月から4ヵ月ほどと見ておいて下さい。

法律上は、
審査請求をした日から60日以内に決定がないときには、
棄却したものとみなして社会保険審査会に再審査請求できるとされています。

このことからも、
審査請求は、請求日から60日以内に決定されなければならないのですが、
審査請求の件数が増加していることもあり、
審査官の対応が追いつかずに3ヵ月~4ヵ月もの期間を要しているのが実情です。

 

 

審査請求手続き⑦:口頭による意見陳述

障害年金の審査請求手続きは、
審査請求書を提出すると原則社会保険審査官の決定を待つのみとなります。

しかし、一度は文書で提出したけれども、
直接社会保険審査官に会って自分の主張をしたいということもあるでしょう。

また、直接審査官と面談して話をすることで、
より具体的な話が伝わり効果が期待できるということもあります。

このような場合には、
担当する社会保険審査官に申し入れをすることで、
口頭陳述の機会を得ることができます。

口頭による意見陳述のタイミングは、
審査請求をしてから1ヵ月ほどした時点が良いでしょう。

なぜなら、審査請求から1ヵ月後くらいが、
審査官の手元に請求者の障害年金に関する資料が集まってくる頃で、
審査請求の状況把握が容易になるからです。

口頭による陳述は、
審査請求人が口頭で陳述したことを
審査官が文書に書き起こして審査請求人に読み聞かせ、
内容に問題がないようであれば、
審査請求人と審査官が記名押印するという流れになります。

これは、審査官の側からすると大変面倒くさい作業となります。

そのため、審査官の目線からすると、
口頭陳述はできるだけ避けたいものであるといえます。

だからこそ、実際の口頭陳述の場では、
陳述の要点をまとめて文書にしたものを
審査官に渡しておくといった配慮をすることをお勧めします。

 

 

審査請求手続き⑧:決定書

長い道のりを超えて障害年金審査請求の結果が出ると、
「決定書」
というかたちで審査請求人に簡易書留で通知されます。

決定の内容は、
容認」または「棄却」のどちらかとなります。

決定書の記述内容は、
審査請求から最終的な判断に至るまでの経過を詳細に記載しているため、
ページ数は多くなります。

決定書の内容がどのようなものか、
簡単に事例を紹介します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

審査請求人:住所 氏名
原処分をした保険者の機関:東京都千代田区霞が関1-2-3
被保険者:住所 氏名 生年月日 基礎年金番号
主文:容認または棄却の旨が記載
容認の例:厚生労働大臣が審査請求人に対して不支給とした処分を取り消す
棄却の例:この審査請求を棄却する
理由
第1 審査請求の要旨
第2 審査請求の経過
第3 問題点
第4 審査資料
第5 事実の認定及び判断

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

決定書の最終ページには、
社会保険審査官の記名押印があり、
再審査請求の連絡先が書かれています。

決定書を受け取ったら内容を確認し、
決定を受入れるか再審査請求を行なうかを決めることになります。

容認であれば、通常は再審査請求をしないので、
障害年金が支給されるのを待ちましょう。

日本年金機構の手続きに1~2ヵ月ほどかかりますが、
役所の処理が終われば、
年金額の決定通知や振込通知が審査請求人に送付されます。

棄却の場合は、
再審査請求を行なうかどうかを慎重に検討しましょう。

審査請求と再審査請求の大きな違いは次のとおりです。

 

審査請求:審査官が単独で審査を行ない処分を決定する
再審査請求:国会の承認を経て任命された複数の委員による合議制で審査を行なう

 

再審査請求は、
審査請求に比べてより客観性の高い審査となりますので、
審査請求の却下理由に納得がいかないのであれば再審査請求を検討ください。

ただし、審査請求の決定を覆すことを目的とするのですから、
こちらが用意する資料や証明といったものもより高度になります。

一個人で対応するのは非常に困難ですので、
障害年金専門の社会保険労務士に協力を求めるとよいでしょう。

 

 

(3)再審査請求について

 

再審査請求①:概要と社会保険審査会

【再審査請求の概要】
障害年金の審査請求の決定に納得いかないときには、
決定書が送付された日の翌日から2ヶ月以内に、
社会保険審査会に対して再審査請求を行うことができます。

 

 

再審査請求も審査請求と同様に郵送での請求ができますし、
意見陳述も文書で行えるようになっていますので、
地方からの請求者にも余計な負担がかからないよう配慮されています。

ただし、
口頭による意見陳述を希望する場合には、
東京に出て来なければならないため、
場合によっては大きな労力と金銭的負担が生じることになります。

 

【社会保険審査会とは】
審査請求は社会保険審査官個人によって決定されていますが、
再審査請求は社会保険審査会という合議制のもとで障害年金の審査を行います。

社会保険審査会は、
委員長及び5人の委員の計6人で構成されています。

この6人のメンバーは、国会の承認を得て厚生労働大臣が任命します。

再審査は、
案件ごとに委員長と5人の審査委員のうちから3名を選出して行われます。

再審査請求の審理は原則公開ですが、
当事者の申し立てがあったときには非公開となる場合もあります。

審理には先の3名の審査委員と
参考意見を述べることができる参与数名と
保険者(=厚生労働省の職員)が出席して行われます。

再審査請求の請求人やその代理人が出席して意見陳述を行うことになりますが、
出席しなくとも審理自体はそのまま進行するということを覚えておきましょう。

 

 

再審査請求②:再審査請求書の入手

再審査請求を行うことを決めたら、
まずは再審査請求書を入手することからはじめます。

審査請求の決定書の末尾には、
「決定書の謄本が送付された日の翌日から2ヶ月以内に社会保険審査会に再審査請求ができます」
と記載されており、
再審査請求制度の存在と期限を明示しています。

さらに、
再審査請求を行う場合の連絡先も
審査請求の決定書には記載されています。

その連絡先に電話をすると、
いくつかの質問をされますが、
それに答えることで再審査請求の用紙を郵送してくれることになっています。

蛇足ではありますが、
連絡先である厚生労働省の電話は自動応答システムになっていますので、
内線番号を手元に控えておいて電話すると早く担当者につながり便利です。

電話で請求した後、
数日で再審査請求に関する次の書類が送られてきます。

●「再審査請求の記載用紙の送付等について(事務連絡)」
●「再審査請求書」
●「再審査請求の趣旨及び理由」
●「再審査請求の書き方」

再審査請求は、
口頭でも認められていますが
基本的には再審査請求書を社会保険審査会に
郵送で提出することで行われます。

電話での再審査請求はできませんので、ご注意ください。

また、
再審査請求の請求日は社会保険審査会に書類が届いた日が基準となります。

電話で再審査請求書の送付を依頼した日を請求日とすることはできませんので、
2ヶ月のの期限に間に合うよう、こちらもご注意ください。

 

 

再審査請求③:再審査請求書の作成

再審査請求書の作成だけなら、
以外と簡単です。

社会保険審査官の決定書に書かれていたことを書き写すだけで、
ほとんど足ります。

主な記載事項
●審査の決定をした社会保険審査官
●審査官決定年月日
●決定書の謄本が送付された年月日
●再審査請求をすることができる旨の教示の有無
●再審査請求の趣旨及び理由(次の中から選択する)
1.審査官に対して行った審査請求の趣旨及び理由と同じ
2.別紙(2枚目)「再審査請求の趣旨及び理由」に記載のとおり

 

今回の再審査請求の趣旨及び理由が、
審査官への審査請求と同じであれば、
「1.審査官に対して行った審査請求の趣旨及び理由と同じ」に○をつければ、
後の記載はさほど考える必要はありません。

しかし、再審査請求の趣旨及び理由は十分に検討するようにしてください。

再審査請求の段階は、
最初の障害年金請求の決定がどのような過程や理由で決まったのかが、
審査請求の決定書をとおして詳細が分かっています。

その審査請求の決定書の内容をよく吟味した上で
再審査請求の趣旨及び理由を決めましょう。

また、別紙で再審査請求の趣旨及び理由を示す場合、
診断書の修正依頼や調査などに時間を要することがあります。

このことに時間をかけすぎて2ヶ月を経過してしまい
再審査請求ができなくなるのでは意味がありません。

ちょっとした裏技となりますが、そのような場合には、
「1.審査官に対して行った審査請求の趣旨及び理由と同じ」に○をつけて一度提出し、
後日変更することも可能です。

再審査請求書が完成したら、
簡易書留等により記録が残るような方法で、
厚生労働省の社会保険審査会宛てに送付しましょう。

 

 

再審査請求④:再審査請求書の受付

再審査請求書を提出すると、
数日後に再審査請求書を受け取った旨の
「(再)審査請求について」という通知が届きます。

しかし、
この通知の時点ではまだ再審査請求が受理された訳ではありませんので、
ご注意ください。

この後に、2ヶ月以内に請求を行ったかなど、
再審査請求の要件を満たしているかどうかの確認が行われ、
要件を満たしていることが確認されたら受理されることになります。

障害年金専門の社会保険労務士などの代理人を建てて再審査請求をした場合には、
代理人宛に受付の通知が届くことになります。

 

 

再審査請求⑤:公開審理までの流れ

障害年金の再審査請求が受理されると、
社会保険審査会は審理に必要な情報を収集します。

審理のために必要であれば、
当事者や参考人に審問や意見・報告を求めたり、
事件に関係のある事業所等に立ち入って検査を行うなどの情報収集を行い、
公開審理に向けた準備をしていきます。

公開審理は、
毎週火曜日と木曜日に開催されることになっています。

障害年金の公開審理であれば、
障害基礎年金が火曜日、
障害厚生年金が木曜日に開催されます。

公開審理の日程は、
開催日の前月中旬に再審査請求を行った人へ通知されます。

日程の変更は認められないので、
公開審理に出席して口頭での陳述を希望する場合には、
火曜日か木曜日の予定をあらかじめ空けておくようにしてください。

公開審理の通知は、次の書類が届くことになります。

⑴「社会保険審査会の審理について(通知)」
⑵「審理資料」
⑶「審理及び通知についてのご説明」
⑷「社会保険審査会のご案内」
⑸「審理への出欠の返信ハガキ」

 

【概要説明】
⑴「社会保険審査会の審理について(通知)」
事件番号、審理の日時、審査請求人の氏名や場所が記載されたものです。
⑵「審理資料」
障害年金請求書をはじめとした再審査請求人が提出した資料や、
年金事務所(日本年金機構)が障害年金の裁定を行った資料、
審査官が審査に用いた資料など、公開審理に至るまでの資料が
1冊の冊子にまとめられています。
通常数十ページにもなりボリュームがありますが、
内容をよく読み込んだ上で、陳述したいことがあれば
事前に陳述書を準備するといったことを行うようにしましょう。
⑶「審理及び通知についてのご説明」
公開審理の手続きについてまとめたもので、
次の内容が記載されています。
●審理の目的
●審理期日の流れ
●通知書について(出席は必須でないことの説明)
●審理日の出欠について(出欠確認のため同封のハガキで回答すること)
●意見書や資料等の追加提出について
→追加資料は、審理日の10日前までに提出
●審理期日の出席について
●再審査請求の結論について(結論は後日文書で通知するといった説明)
⑷「社会保険審査会のご案内」
受付時間、受付場所、持ち物、遅れた場合の連絡先、ビル入館の手続き、最寄り駅と地図、公開審理の座席図などがあります。

 

 

再審査請求⑥:公開審理での陳述

障害年金における再審査請求の公開審理に出席する場合、
受付をすませたら社会保険審査調整室(場所等の詳細は事前に送られてくる資料あります)に行き、
審理出席の手続きを行います。

その後、
審理室の近くにある控え室に案内されるのでしばらく待機しましょう。

この控え室での待機時間中に
日本年金機構側の意見陳述の文書が配られますので、
事前に相手側の主張を読むことができます。

控え室というだけあって広い部屋ではありません。

同じ日に何件も審理が行われますので、
前の審理が長引いていると、
後の案件で審理に出席する人と同席することもあります。

あなたの順番がくると係の人が案内しますので、
審理室に入室しましょう。

審理室では、
審査委員、保険者、参与、事務局や傍聴者が
すでに着席した状態であなたを待っています。

そんな状況ですので、
審理室に入った瞬間は多くの人の視線を感じ、
緊張するかもしれません。

事前にイメージトレーニングを行うなどの
心の準備をしておくことをお勧めします。

請求人が着席すると、いよいよ審理が開始されます。

 

 

再審査請求⑦:公開審理の流れ

障害年金における再審査請求の公開審理は、
次のような流れで行われます。

 

⑴審査長による出席者の説明

⑵再審査請求の趣旨及び理由の要点の朗読
再審査請求の趣旨と理由について、
要約したものを社会保険審査調整室の職員によって読み上げられます。

⑶保険者の意見陳述
保険者として出席している厚生労働省の職員が、
保険者側の意見陳述が読み上げられます。
公開審理の前に控え室で配られた文書と同じ内容です。

⑷審査委員からの質問
審査委員から審査請求人であるあなたと保険者に質問がされます。
質問の内容は、障害年金に関する事実確認が多いです。
うつ病による障害年金を適切に受給するためには、
請求人であるあなたの主観で回答するのはリスクがありますので、
障害年金専門の社会保険労務士に代理人として同席してもらうことが有効です。

⑸参与からの質問
参与とは、再審査請求の決定には関与しませんが、
社会保険制度の利害関係者として質問をし、
意見を述べる人です。
審査委員とは違った目線から質問をしてきます。

⑹請求人・利害関係者又はその代理人の意見陳述
最後に、あなたと代理人の意見陳述となります。

事前に日本年金機構や社会保険審査官が提出した資料を熟読し、
どのような理由で最初のうつ病による障害年金の決定、
審査請求における社会保険審査官の決定がなされたのかを
推測しているかと思います。

その上で、
どのような意見を言うことがこれまでの決定を覆すのに有効かを検討し、
その内容を文書化して手元にもっておいて陳述に臨みましょう。

 

審査委員及び参与は、
再審査請求までの経緯をすべて事前に把握しているのが前提となっています。

しかし、再審査請求の件数の多さもあって、
必ずしもすべての案件を完全に把握しているわけではないようです。

そのような状況もあり、
意見陳述の場ではあなたの主張を理解してもらうための
準備は入念に行っておく必要があります。

あなたの意見陳述が終わると、
審査長が終了の宣言をします。

これで再審査請求の公開審理は終わりとなります。

 

 

再審査請求⑧:公開審理の結果

公開審理の結果は、
請求人であるあなた又は障害年金専門の社会保険労務士などの代理人に、
裁決書」というかたちで郵送されます。

公開審理から「裁決書」が届くまでには
相当な期間がかかっているのが現状です。

早くても2ヶ月、
遅いときには1年も待たされてしまうのです!

いくら催促しても
「現在審査中ですのでお待ちください」
としか回答がないので、
残念ながらこの段階ではこちらでできることはほとんどありません。

「裁決書」の内容は、
社会保険審査官の決定書とほぼ同じ形式で、次のような内容です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【再審査請求人】
住所 氏名 生年月日 基礎年金番号
【再審査請求代理人】
住所 氏名
【現処分をした保険者】
政府
【現処分をした保険者機関】
住所 厚生労働大臣
【審査の決定をした社会保険審査官】
社会保険審査官 氏名
【主文】
容認または棄却の旨の文言
容認の例:厚生労働大臣が審査請求人に対しておこなったうつ病による障害年金に関する処分は、これを取り消す。
棄却の例:この再審査請求を棄却する。
【理由】
第1:再審査請求の趣旨
第2:再審査請求の経過
第3:問題点
第4:審査資料
第5:事実の認定及び判断(ここに主文に至った判断の経緯が記載されています)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

最終ページに、
裁決日、社会保険審査会審査長氏名、
審査員2名の氏名が記述され、
社会保険審査会委員長の印が押印されています。

 

これで再審査請求に関する説明は終わりです。

審査請求・再審査請求は、
ともに厚生労働省の役人が判断する不服申し立て制度です。

最初の障害年金の請求を審査した役所(年金事務所、日本年金機構)と同じ厚生労働省が管轄しているところですので、
不服申し立てをしても決定が覆る可能性は高いとはいえません。

少しでも納得いく結果につなげるためには、
障害年金を専門にしている社会保険労務士に助けを求めてください。

再審査請求の結果に不服がある場合には、
裁判で争うことができます。

この場合は再審査請求の結果を知った日から
6ヶ月以内に地方裁判所に提訴することができます。

裁判においては社会保険労務士は代理人となることはできません。

うつ病や障害年金、
行政訴訟に強い弁護士を探して代理人として依頼するようにしましょう。

 




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