昭和61年以降の障害年金の歴史

ここでは、昭和61年以降の障害年金の歴史について解説していきます。
【昭和61年の改正】
昭和61年4月1日の改正では、老齢年金と同様に障害年金も2階建ての年金制度となりました。
改正後は、1階部分として障害基礎年金が国民年金から支給され、2階部分として、障害厚生年金が支給されるようになりました。
障害厚生年金では、制度間の障害等級表を統一することや、無拠出年金を拠出年金と同額に引き上げることも行われています。
【平成3年の改正】
これまでは、20歳以上の学生は国民年金の任意加入となっていました。
そのため、学生期間で国民年金に任意加入していない人が障害を負った場合、障害年金を受給することはできませんでした。
改正後は、20歳以上の学生も国民年金に強制加入となり、学生期間中に障害事故が発生しても障害年金の対象となることになりました。
【平成6年の改正】
障害年金の3年失権の改善
障害等級が3級以上に該当しなくなったまま3年が経過すると、障害年金の権利が消滅するという取扱いだったものが、65歳になるまでは失権せずに支給停止として取り扱うことになりました。
これにより、3級に該当しなくなって3年以上支給停止されていても、再び障害が重くなれば改めて障害年金を受給することができるようになりました。
【平成12年の改正】
老齢厚生年金の障害者特例が新設されました。
3級以上の障害をもっている人で退職している場合には、報酬比例部分と定額部分の年金が同時に支給される特例がはじまりました。
【平成14年の改正】
障害年金の認定基準が改正されました。
改正後の障害認定基準は、能力障害に基づいて障害評価を行うようになりました。
また、日常生活能力の評価方法も変更されています。
【平成16年の改正】
この改正では、「直近1年要件」の再延長、20歳前初診の障害基礎年金の支給停止の緩和、保険料免除制度の多段階化などが行われました。
また、障害基礎年金の併給調整も緩和されました。
65歳以降の老齢年金について、障害基礎年金と老齢厚生年金、または障害基礎年金と遺族厚生年金との併給が可能になりました。
【平成22年の改正】
生計維持認定基準の拡大
障害年金には配偶者・子の加算がありますが、この加算が適用されるのは、障害年金の受給権発生時点で一定の要件を満たしていた配偶者と子だけでした。
今回の改正により、受給権発生後でも要件に該当すれば加算されることになりました。
【平成23年の改正】
①精神の障害に「発達障害」が加わりました
②知的障害の認定要領が見直されました
③発達障害・知的障害とも「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること」という就労への考え方が示されました。
【平成24年の改正】
神経障害と肢体についての障害認定基準が改正されました。
また、「障害認定日」「傷病が治った場合」などの文言が、障害認定基準での定義が変更されました。
医学の発展や社会状況などにより、障害年金は適宜改正されています。
多くの改正に伴う経過措置なども障害年金を複雑にしている原因の一つです。
今後も重要な改正などがありましたら、随時お伝えしますね。